こんにちは。作業療法士のトアルです。
認知症・せん妄・うつ病のアセスメントって難しいですよね。
私がセラピストとして入職したときは、これらのアセスメントで困ることがありました。
症状が似通っている所が多く、どこをポイントにすればいいかが分からないのです。
学生さんや、新人の方はこういうことが多いのではないでしょうか?
そこで今回は、これら3つの疾患の特徴などの基礎知識について
解説していこうと思います。
高齢化が進んでいることで、入院患者さんでもご年配の方が多くみられます。
身障分野だと、身体疾患に合併する精神症状への対応が問題になることが多くなります。
『3D』という言葉をご存知でしょうか?
これは認知症(Dementia)、せん妄(Delirium)、うつ病(Depression)の
3つの頭文字を合わせたものです。
「せん妄」は入院患者さんの約30%にみられるといわれ、最も高い頻度の精神症状です。
「うつ病」は身体疾患をもつ患者の約10~20%に認められ、
「認知症」は65歳以上の高齢者で約8%、80歳以上では15%が合併します。
これらの精神疾患を見分けて、アセスメントを行い適切に対応(ケア)を行うことが大切です。
しかし、これらの3つの疾患は合併するため、どこを観察すればいいのか捉えにくいという
ことがアセスメントを難しくする理由になります。
精神症状って、そもそも何なんでしょうか?
どれも似たり寄ったりで、分かりにくいものですよね。
そこで、まず「精神症状」とはなにか?について整理してみましょう。
「精神症状」とは、精神機能、すなわち「こころの働き」が
上手く機能していないため生じる症状のことになります。
この「精神症状」なんですが、4つ段階があり順に
①「意識の問題」→②「知能の問題」→③「気分の問題」→④「心理的問題」
に区分されます。
これらはパソコンで例えると、それぞれの段階の意味が分かりやすいです。
パソコンで例えると、比較的理解しやすいと思います。
①電源が入っているか? ②本体(ハード)の問題か? ③ソフトの問題か? ④使う人の問題か?
上記の表がそれぞれ
①「意識の問題」 ②「知能の問題」 ③「気分の問題」 ④「心理的問題」
と対応しています。
今度はこれを、ピラミッド型で表してみます。
脳は図のようにピラミッド型の機能で構成されていて、
下位の脳機能がしっかり働くことで、それより上位の高次の機能が働くことができます。
恒常性(ホメオスタシス)を維持する脳幹の部分が障害されれば、働けない機能が多くなります。
「働けない機能が多い=多くの症状が出る」という仕組みです。
今回は「認知症・せん妄・うつ病の基礎知識」の「精神症状」への理解について
解説させて頂きました。
先にも述べたように
①「意識の問題」 ②「知能の問題」 ③「気分の問題」 ④「心理的問題」
これら4つのどの部分に問題がありそうか推測することがとても大切です。
そして、これらは以下のように対応しています。
① 「意識の問題」→ せん妄の評価
② 「記憶力の問題」→ 認知症の評価
③ 「気分の問題」→ うつ病の評価
次回は、これらの評価の詳細と「病態とアセスメント」について
解説させて頂きます。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。