こんにちは、作業療法士のトアルです。
前回は「にぎり動作」の1つ「ハンマーにぎり」について解説させて頂きました。
今回は「ボールにぎり」ついて解説させて頂きます。
人は手で色々なものを「つかむ」のですが、特にボール状のものをつかむことを
専門的に「ボールにぎり」といいます。
ボールはスポーツで使われますが、競技によってさまざまな大きさがあります。
日常生活では色々なものをつかむのですが、ボール状のものをつかむ動作は
指の動きが意識しやすいため、ボールの大きさに分けて解説させて頂きたい思います。
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ボールを握るためには、まず「手指の開始肢位」を意識します。
というのは、手指が握られた状態ではものを掴むことはできません。
なので、まずは「手指の開始肢位」ができるのかを意識します。
「手指の開始肢位」とはジャンケンの「パー」の形のことで、
専門的にいうと「指間の外転位」になります。
基本的にはこれが必要になると覚えておきましょう。
手指の開始肢位のことは理解できたでしょうか?
今度はボールの大きさを基準にどういう握りの形になるかを解説していきます。
開始肢位が最大限にできれば、バスケットボールやバレーボールなど
大きいボールでも掴むことができます。
(手の大きさにもよりますが)
指の形としては外転位、対象物が大きいため手指の屈曲角度は大きくありません。
ボールの大きさが少し小さくなり、野球ボールなどの大きさのものになれば
バスケットボールやバレーボールを掴んだ場合に比べて指の屈曲角度が増します。
この手指の握りをさらに詳しくみていきます。
野球ボールを握った形からボールを外してみましょう。
そして、この指の形を保ったまま手掌を上に向けてみると、
この手の形は「お椀」を持つ形になるはずです。
専門的に見ると、母指に対して環指・小指が対立を保ちながら行う把持の様式になります。
残りの示指・中指は「にぎり」に参加しながら同時に対象物の安定性に寄与しています。
今度はゴルフボールやピンポン玉のようにさらに対象物が小さい場合を考えてみます。
この場合ですと、手指は重なるような形になり、それを母指が覆う形になります。
にぎり動作は、手掌の中に対象物を迎え入れるように手指が作用しています。
つまり、手の橈側動的区分と尺側動的区分が対象物の大きさに合わせて変化させるといえます。
これは、手の対立アーチの形状を変化させて対象物に対応しているとも言えます。
ここで橈側動的区分と尺側動的区分という専門用語が出てきましたが、
詳細は別の記事で紹介させて頂きます。
いかがでしたでしょうか?
今回は「ボールにぎり」について解説させて頂きました。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。