こんにちは。作業療法士のトアルです。
今回は「老研式活動能力指標」について解説させて頂きたいと思います。
「老研式活動能力指標」は東京都老人総合研究所が開発した
IADLの評価指標の事です。
手段的自立(設問1~5)
知的能動性(設問6~9)
社会的役割(設問10~13)
の13項目で成立しています。
それぞれ「はい」「いいえ」で回答し、満点は13点となります。
明確な基準値は設けられていませんが、
10点以上で生活機能は、ほぼ自立とされています。
基本的には「本人」に対する面接法、
または「本人の生活状況を知っている家族」に回答してもらいます。
採点の際には「できている」か「できていないか」を問う必要があります。
※「~できますか」という質問は能力を問う質問になってしまうため
「~していますか」という聞き方で日常生活上での実行状況を把握するようにします。
①バスや電車を使用し一人で外出できるかどうか?
自力で外出可能かを問います。補助具を使用する場合や、
自家用車で外出も「自力で外出可能」に含めます。
「バスや電車がないのでわからない」などの回答が返ってきた場合は、
「もし、バスや電車があるとしたら」という言葉を頭に着けて再度質問します。
②日用品の買い物ができるかどうか?
「普段は本人以外(妻など)がやるからわからない」などの答えの場合には、
「ご自分でやるとしたら出来ますか?」と再度聞き直します。
店までの距離は問いません。
③自分で食事の用意ができるかどうか?
食事の支度の能力の有無について問います。
「普段は本人以外(妻など)がやるからわからない」などの答えの場合には、
「ご自分でやるとしたら出来ますか?」と再度聞き直します。
それでも解答に困る場合は、
「やかんでお湯を沸かすことはできますか?」や「自分でご飯を炊けますか?」などに
変更して能力の有無を聞き出します。
④請求書の支払いができるかどうか?
「普段は本人以外(妻など)がやるからわからない」などの答えの場合には、
「ご自分でやるとしたら出来ますか?」と再度聞き直します。
⑤銀行預金、郵便貯金の出し入れができるかどうか?
ATM、窓口でお金を下ろす場合でも、可能であれば「はい(できる)」にします。
「普段は本人以外(妻など)がやるからわからない」などの答えの場合には、
「ご自分でやるとしたら出来ますか?」と再度聞き直します。
⑥年金などの書類がかけるかどうか?
伝わりにくい場合は、「役所などに提出する書類を書くことはできますか?」と質問を変更します。
「普段は本人以外(妻など)がやるからわからない」などの答えの場合には、
「ご自分でやるとしたら出来ますか?」と再度聞き直します。
⑦新聞などを読んでいるかどうか?
新聞を読んでいるか、いないかを問います。「新聞を取っていないから…」などの回答の場合にも
読んでいなければ「いいえ」とします。
⑧本や雑誌を読んでいるかどうか?
本や雑誌を読んでいるかいないかを問います。
⑨健康についての記事や番組に関心があるかどうか?
思い浮かばず、回答に困る場合はテレビ番組名などを上げても良いとされています。
⑩友達の家を訪ねることがあるかどうか?
「友達の家はみんな遠いから…」「友達はみんな死んだから…」などの回答の場合にも
訪ねる事がなければ「いいえ」とします。
⑪家族や友人の相談にのることがあるかどうか?
「家族は一緒に住んでいないから…」「友達はみんな死んだから…」などの回答の場合にも
相談に乗る事がなければ「いいえ」とします。
⑫病人を見舞うことができるかどうか?
病人を見舞う能力の有無について問います。
「病人は周りにいないからしない(またはわからない)」などの答えの場合には、
「もし、近くに病気の方がいらっしゃったらお見舞いをすることが出来ますか?」
などに質問を変更して能力の有無を聞き出します。
⑬若い人に自分から話しかけることがあるかどうか?
若い人とは、対象者の子供世代より下の年代の者のことです。家族(孫)を含みます。
今回は高齢者の社会生活の能力や意欲の指標として、
老研式活動能力指標をご紹介させていただきました。
今後、MTDLPでも使用される評価となります。
ご参考にしていただければ幸いです。