Categories: 作業療法士の働き方 検査値の読み方

Bil(ビリルビン)についてリハビリ介入時に知っておくべきこと

こんにちは。作業療法士のトアルです。

皆さんはBil(ビリルビン)のことはご存知でしょうか?

今回はBil(ビリルビン)についての知識を整理したいと思います。

簡単に説明すると、
ビリルビンはヘモグロビンの代謝物で、古い赤血球が破壊され作られる色素のことです。
通常は脾臓→肝臓で代謝され胆管を経由し胆汁や尿から排泄されます。

まず押さえておきたいのは、ビリルビンは2つに分けられます。
1つ目は「間接型ビリルビン」2つ目は「直接型ビリルビン」になります。

それぞれどういうことを表しているかというと

・間接型ビリルビン肝臓で代謝される前のビリルビンの濃度
・直接型ビリルビン肝臓で代謝される後のビリルビンの濃度

に分けられ、これらをまとめたものを「総ビリルビン」といいます。

間接型ビリルビンが高値のときには肝臓以外の疾患を疑われ
直接型ビリルビンが高値のときには肝機能の低下が疑われることを
念頭に置きながら読んでみて下さい。

Bil(ビリルビン)が高値のときにどうするか?

Bil(ビリルビン)が高いと、
・黄疸
・腹水
・尿・便の変色
・全身浮腫・腸管浮腫
・食欲低下・消化不良
・腎機能障害
がみられます。

高値となる機序としては、胆汁のうっ滞や胆管閉塞により、
正常に尿や便が排出されずビリルビンが血液中に排出されます。

原因は、
「間接型ビリルビン」「直接型ビリルビン」「総ビリルビン」でそれぞれ違います。
それぞれのビリルビンが作られるかで理解するとわかりやすいと思います。

《間接型ビリルビン》
・劇症肝炎
・長期の絶食状態

《直接型ビリルビン》
・肝炎
・肝硬変
・アルコール性肝炎
・肝臓癌
・胆石症
・胆道癌

《総ビリルビン》
・溶血性貧血
・肝細胞障害
・閉塞性黄疸
・右心不全

などがあげられます。

Bil(ビリルビン)が高値のときリハビリ介入前に確認しておくこと

リハビリ介入の可否ですが、高値の場合のリハビリ介入のときに
特に対処することはないようです。
(内科的疾患なので基本的にリハビリでどうこうすることはできないっていうのが正しいとこかと思います。)

ただし随伴症状には注意が必要です。

・全身倦怠感
・食欲不振
・瘙痒感
・悪心
・嘔吐

これらの症状がみられた場合に体調、栄養状態に合わせて運動負荷量を
調整する必要があります。

また、状態が改善しているかの判断として尿や便の色を確認する必要があります。
リハビリ介入前に担当看護師に確認してもいいと思います。

ただし、総ビリルビンが3㎎/dL以上で、右心不全の急性増悪がみられる場合は
リハビリ介入が禁忌となるようです。

リハビリ側で知っておいて損はない情報としては以下の2つがあります。

・便秘はビリルビンの再吸収を促進させるので、排便習慣の確立をする。
・制限がなければ水分摂取をすすめ、尿量増加に努めて、ビリルビンの排出を促す。

これらのことから、排便、排尿目的のためトイレ誘導を促してもいいかもしれません。

 

Bil(ビリルビン)が低値のときリハビリ介入前に確認しておくこと

リハビリ介入の可否ですが、ビリルビンが低値のときには病的意義が少なく
臨床的意義がないとされています。

 

まとめ

今回は、「Bil」についてのリハビリ介入ポイントについて説明させていただきました。

ビリルビンの生成過程や肝臓の解剖学について知っておくと
看護師から一目置かれるかもしれません。

皆さまのご参考にしていただければ幸いです。

toaru

急性期病院で働いている、臨床5年目の作業療法士です。作業療法士に役立つ情報を発信していきます。

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