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患者さんが最近痩せてるけど…。リハビリが原因?注意すべき低栄養について解説

こんにちは。作業療法士のトアルです。

皆さんは「低栄養」について意識したことがあるでしょうか?

これを知らない事で良かれと思ってやっているリハビリが患者さんの
身体機能を落とす原因になるかもしれません。

今回は低栄養とリハビリテーションでの注意点についての知識について整理したいと思います。

リハビリテーション栄養とは?

「リハビリテーション栄養」という言葉を初めて聞くという方のために解説をします。

【リハビリテーション栄養の定義】

ICF(国際生活機能分類)で評価を行った上で、障がい者や高齢者の
機能・活動・参加、QOLを最大限発揮できるような栄養管理を行う事である。

定義のみでは、すこし分かりにくいかもしれません。
簡単にいうと「栄養状態を評価して、日常生活の質を高めましょう。」
ということになります。

では栄養評価の基準になるものは何でしょうか?

 

低栄養とは?

栄養状態を評価するには「低栄養」について理解しなければなりません。

「低栄養」は英語でProtein Energy Malnutritionで「PEM」と略されます。
訳すると「タンパク質・エネルギー・不足」です。

おおよそ「タンパク質不足」という訳になると考えられます。

 

人体でのエネルギー代謝とその悪影響

人の体は栄養状態が悪くなると、最初のうちは体内に貯蔵されている
栄養素を利用することでエネルギーを確保しようとします。

「糖質」→「脂肪」→「タンパク質」

この順に利用していきます。

ヒトのエネルギー源である糖質(グリコーゲン)は肝臓に貯蔵されており、
絶食時は12~18時間で枯渇してしまいます。

肝臓では糖質がすべて使われるとタンパク質をエネルギー源として使用します。

そうすると骨格筋の筋肉量の低下が生じ、結果的に日常生活での活動が低下するため
「寝たきり」を引き起こす可能性があります。

さらに栄養状態が悪くなれば「易感染性」「褥瘡」が生じ
治療に時間がかかるようになります。

このように低栄養は様々な問題を起こします。

 

リハビリになぜ栄養が必要なのか?

上でも説明したように、リハビリテーション栄養における低栄養とは
「タンパク質」が不足している状態のことです。

65歳以上の廃用症候群でリハビリを行なっている患者さんのうち、
約8割の方に低栄養が認められたと報告されています。

病院では栄養状態の管理がされていますが、在宅では厳密な管理はされていません。
そのため、栄養が傾いてしまうことも多いのです。

急性期病院では入院患者さんの3~8割、回復期病院では約4割の方に低栄養が認められ、
日常生活動作(ADL)の向上が得られにくいというデータもあります。

つまり、病院でも在宅生活をしていても、相当数の方に低栄養状態にあると考えられます。
セラピストは、リハビリ介入の前に栄養状態を確認することが必須です。

低栄養状態でリハビリをするとどうなるか?

タンパク質が不足している状態で強い負荷の運動を行えば、エネルギーを捻出するため
筋の破壊と分解を促進してしまい筋肉の量は逆に減少してしまいます。
※運動自体でも筋肉に微細な損傷を起こす可能性もあります。

つまり、低栄養状態でリハビリをするということは
筋力をつけるどころか「逆効果」になってしまいます。

リハビリ介入前に栄養状態を確認せず、運動療法をしても全く効果がないどころか
逆効果になってしまうことをセラピストは十分に理解する必要があります。

 

まとめ

栄養状態を知ることはリハビリを進める上で、非常に重要になります。
低栄養で積極的に運動をしても逆効果になること、そしてADLの改善の妨げになること。

リハビリ介入前に栄養状態を知るにはさらに詳しい栄養評価を知っておくことが大切です。
それについては、別記事で紹介したいと思います。

この記事が皆様の参考になれば幸いです。

toaru

急性期病院で働いている、臨床5年目の作業療法士です。作業療法士に役立つ情報を発信していきます。

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