こんにちは。作業療法士のトアルです。
前回の記事も書きましたが、患者さんの栄養状態を知る事はリハビリをする上で
基本中の基本になります。
↓前回の記事
患者さんが最近痩せてるけど…。リハビリが原因?注意すべき低栄養について解説
ですが「栄養状態ってどう評価すればいいのか分からない…。」
というように評価方法がわからない事もあると思います。
私も初めの頃は、どうすればいいのか具体的な方法がよくわかりませんでした。
そこで、今回は栄養状態を評価する方法について調べた事を紹介したいと思います。
Contents
大まかに以下の3つがあります。
・簡易栄養状態評価法(MNA®-SF)
・SGA(主観的包括評価)
・ODA(客観的栄養評価)
それぞれ1つずつ解説していきたいと思います。
簡易栄養状態評価法(MNA®-SF)とは65歳以上の高齢者のスクリーニングに用いられます。
低栄養に影響する6項目で判定し、合計点で最大点は14ポイント(点)となります。
項目としては以下のようになっています。(A~F2まで6項目までありF1、F2は選択式)
A.過去3ヶ月間で食欲不振、消化器系の問題、咀嚼・嚥下困難で食事量が減少しましたか?
B. 過去3ヶ月間で体重の減少がありましたか?
C.自力で歩けますか?
D. 過去3ヶ月間で精神的ストレスや急性疾患を経験しましたか?
E.神経・精神的問題の有無
F1. BMI
F2.ふくらはぎの周囲長
で評価します。
スクリーニング評価値としては
12~14ポイント:栄養状態良好
8~11ポイント:低栄養のおそれあり
0~7ポイント:低栄養
となっています。
入院時のスクリーニングとして使用される事が多いです。
入院時の患者情報から低栄養の可能性を判断します。
項目としては
1.体重変化 (過去6ヶ月の喪失率、過去2週間の変化)
2.食形態の変化 (不十分な固形食、完全液体食、低カロリー栄養食、絶食)
3.消化管症状 (なし、悪心、嘔吐、下痢、食欲不振)
4.機能性 (なし、制限のある労働、歩行可能、寝たきり)
5.疾患と栄養必要量の関係 (ストレスの度合い:なし、軽度、中等度、高度)
〈身体機能評価〉
・皮下脂肪の喪失 (三頭筋、胸部)
・筋肉喪失 (四頭筋、三角筋)
・浮腫 (くるぶし部浮腫・仙骨浮腫・腹水)
・栄養不良に伴う症状、徴候
口内・歯・歯肉の障害、骨折・骨痛、咀嚼・嚥下障害、舌炎、口角炎、皮膚の変化
評価としては、
・栄養状態良好:A
・中等度の低栄養状態:B
・高度の低栄養状態:C
続いて、ODA(客観的栄養評価)について解説します。
SGAで栄養障害があると考えられる患者さんを対象に行い
身体計測や血液・尿生化学検査データから栄養状態を把握します。
〈症状の把握〉
・皮膚の状態 (褥瘡、浮腫、乾燥の有無)
・口腔状態 (痛み、口臭、口腔乾燥、義歯の不具合、味覚低下の有無、経管栄養)
・食欲不振
・脱水
・摂食・嚥下障害
・嘔気/嘔吐
・腹部膨満感
・下痢・便秘などの排泄問題
・発熱
・感染の有無
〈身体計測〉
・身長
・現体重・通常体重
・BMI
〈血液検査〉
・Alb (アルブミン)
・TTR (トランスサイレチン)
・CRP
・Hb (ヘモグロビン)
・中性脂肪
などがあげられます。
また、現在の食事摂取量を確認し、嗜好や主食や副菜の形状、摂食用具、
食事介助の有無、療養食の有無などを評価します。
これらを総合的に判断し管理栄養士が適切な栄養量を計算していきます。
SGA(主観的包括評価)とODA(客観的栄養評価)ですが
SGAとODAは1セットで行われることが多いです。
この2つの評価を合わせて「栄養アセスメント」といいます。
これを行う事で低栄養状態の患者さんを抽出します。
「栄養アセスメント」は病院で行われることが多く、
「NST」というチームを組んで行います。
患者個々あるいは各疾患に応じて、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師
リハスタッフ(PT・OT・ST)・臨床検査技師などのスタッフが中心となり
最良の方法で栄養管理を適切に実施するチームのことです。
これらの評価をみると、セラピストが直接関与する部分は少ないようにみえます。
これらの情報を得ていないと、どの程度の運動負荷量を
かければよいかの判断に迷うことになります。
急性期ではADL獲得のために早期離床を行うのか、機能改善のために運動療法を行うのかなど
適切なリハゴールの設定には栄養状態を知ることは必須です。
今まで気にかけていなかった方は、今後はぜひ気にかけるようにしてみて下さい。
↓前回の記事も参考にしていただければと思います。
患者さんが最近痩せてるけど…。リハビリが原因?注意すべき低栄養について解説
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。