「にぎり動作」で覚えておいて欲しい3種類を作業療法士がわかりやすく解説!(フックにぎり)




こんにちは、作業療法士のトアルです。

前回は「ボールにぎり」ついて解説させて頂きましたが、

今回は、にぎりシリーズの第3弾「フックにぎり」について解説していこうと思います。

フックにぎりとは?

「フックにぎり」は別名「鉤にぎり」(こうにぎり)ともいわれ、手指を「鉤」の形にして
引っ掛ける把持様式のことをいいます。

日常生活でどういう場面に使用されるかというと、カバンやスーパーの買い物袋を
持つときに使用されます。

スポーツなどでいえば「ボルダリング」「ロッククライミング」なども
垂直な壁にある突起物に手指を引っ掛けるという動作では同じ意味になります。
体育で行われる「ウンテイ」も同じですね。

この「にぎり動作」は手指を一定の肢位に保ちながら、
手指の掌側面と手掌を使用し長時間、持続的に行われる「にぎり動作」になります。

 

フックにぎりに必要な筋肉

フック握りに必要な筋は、手指では外在筋である「浅指屈筋」が主に働きます。
それを支える形で「深指屈筋」は補助をする筋として働きます。

手の形としては、DIP・PIP関節を屈曲位に固定しています。

道具としての手

今回はフック握りについて解説させて頂いていますが一つ知っていて欲しいことがあります。

それは「道具としての手」という機能です。

これは、人が2足歩行を獲得したことで得られた機能です。

4足歩行では移動の際に前肢も地面に接地していますがこれが身体の支持から解放され、
前肢がものを掴めるようになり得られた機能になります。

母指と手指が対立運動ができるようになることで
ものを作り出したりすることができるようになったとも言えます。

縄文時代の土器であれば、粘土をこね、細くし、土器の形に形成していきます。

このときの手の動きは手のひらを開き、前後に伸ばしていくという動作になります。

つまり、手そのものを一定の肢位に保ち、上肢全体を動かす動作になります。
この手を固定し、手を使用することを「手の静的作用」といいます。

このように手を一定の肢位に保って行う作業の例としては、
起立動作で身体を支える動作や何かを持つ、シーツを掌で伸ばす、
机の上で粘土を転がして棒状の紐を作るという動作があります。

また、顔を洗う時などの「水をすくう動作」も「道具としての手」ともいえます。

この場合、多くは両手で動作を行いますが、片方の手が塞がっている場合は片手で行う場合もあります。

また、ペットボトルの蓋を開ける動作は片手でペットボトルを固定し、もう片方の手で
蓋をつまみ開ける動作になります。

この蓋をつまみ、開ける動作は動的なものになるため「手の動的作用」といいます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は「フックにぎり」について解説させて頂きました。

そして、補足として「道具としての手」についても解説させて頂きました。

手の機能を細分化してみる作業療法士には
ぜひとも知っていて欲しい所です。

これを知っていると作業分析にも幅が出てくるはずですよ。

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。