手の浮腫評価・周径測定について作業療法士が解説(8の字法)




こんにちは。作業療法士のトアルです。

肩・肘・手・手指関節術後の患者さんでは術部以外の手背・手指に
浮腫が生じるケースが多々あります。

急性期のハンドセラピィでは「浮腫の予防」「拘縮の予防」が最重要課題になります。

でも、浮腫予防といっても色々な方法があります。

急性期で一番大切なのは「評価」で、この「評価」ができなければ
「問題点」が何かというのを上げることができません。

学生や新人のころは「知識の引き出し」が少ないので、必死で頑張りますが、
経験年数が経つと、ある程度増えた自分の「知識の引き出し」で賄おうとします。

仕事に慣れてきたため体で覚えたという場合もあると思いますが、
基本に立ち返ってみると意外と忘れていたり、少しズレて覚えていたりもします。

この「知識のズレ」をそのまま、学生や新人に教えてしまうと、
間違った情報が連鎖してしまい、収集が付かなくなりますよね。

経験年数が上がるとプライドも出てくるので、自分の間違いを認めなくなってきます。
中には間違いを指摘すると怒りだす先輩もいます。

「…それってどうなの?…」とは思いますが。

正直なところ、私もそのタイプに近かったりするので
気を付けないといけないなぁとは感じていますが。

話が横に逸れたので、本筋に戻します。

今回は、手部の浮腫の評価「手部の周径検査方法(8の字法)」
について解説したいと思います。

浮腫とはなにか?

組織液やリンパ液が組織・組織間隙に異常に溜まった状態を「浮腫」といいます。

浮腫が長い期間続くと、その部位には線維性結合組織の増殖が起こり、
硬化してくるため「関節拘縮」が生じる事になります。

そのため、できるだけ速く「浮腫」を改善するように対応する必要があります。

では、この手部の浮腫の評価はどうやって行うのでしょうか?

 

浮腫の評価方法

浮腫の評価方法には2つあり、
1.容積の測定
2.周径の測定
のような方法があります。

測定方法は、この2種類がありますが、急性期では「開放創」や「ギプス装着」していたり
「禁忌肢位」がある場合もあるので「2.周径の測定」を行うことが多いです。

周径を測定する場合には、測定部位を決めて、常に同一部で行うようにします。
周径の測定には『布製メジャー』を用います。

【布製メジャー】

 

【評価の目的】
浮腫の評価の目的としては3点あります。

・浮腫に対する治療プログラムの効果を判定する。
・浮腫に対し、実施したプログラムの「程度」や「頻度」が適切かどうかを判断する。
・浮腫に対してのプログラム結果によって適切な作業活動のレベルを予測する。

というようなことが上げられます。

簡単に言えば、自分が「今」行った訓練内容の実際の効果がどうだったのか、
負荷量の「程度」は足りないのか、多いのか、「頻度」は少いのか、多いのか、
この、訓練は結果として患者さんに適切な方法だったかを判断してねってことです。

 

手部の周径の測定「8の字法」について解説

では、今度は実際に手部の「浮腫」の周径を行う方法について解説します。
呼び方は色々あるようで「finger-of-eight測定法」と呼ばれたりもするようです。

「8の字法」を行うには2種類の方法があります。
『橈骨茎状突起を出発点に行う方法』『尺骨茎状突起を出発点にした方法』です。

以下にその方法を紹介します。

橈骨茎状突起からの『8の字法』での計測

➀橈骨茎状突起中央部にメジャーの先端を当てる。
➁メジャーを手関節に沿って、尺骨茎状突起まで手巻き付ける。
➂尺骨茎状突起の位置から、示指のMP関節中央までメジャーを手背を斜めに巻き付ける。
➃示指MP関節中央部から、小指MP関節中央部へとメジャーを巻き付ける。
⑤そこからメジャーを手の背側に回し、橈骨茎状突起まで斜めに下ろす。
⑥開始位置からの距離を測定する。

※説明と番号の順番がずれていて申し訳ないです。イラストを見た方が理解しやすいと思います。

 

尺骨茎状突起からの『8の字法』計測

➀尺骨茎状突起中央部にメジャーの先端を当てる。
➁尺骨茎状突起の位置から、示指のMP関節中央までメジャーを手背を斜めに巻き付ける。
➂示指MP関節中央部から、小指MP関節中央部へとメジャーを巻き付ける。
➃ そこからメジャーを手の背側に回し、橈骨茎状突起まで斜めに下ろす。
⑤橈骨茎状突起から手関節に沿って、尺骨茎状突起まで手巻き付ける。
⑥開始位置からの距離を測定する。

※説明と番号の順番がずれていて申し訳ないです。イラストを見てた方が理解しやすいと思います。

計測の再現性を高めるために、同じ患者さんは同一の方法で統一した方がいいです。
担当が週休で申し送った人が違う方法で計測した場合、ずれる可能性があるからです。
(そんなに大きいずれはないとは思いますが。

まとめ

今回は、手部の浮腫の評価である「手部の周径検査方法(8の字法)」
について解説させていただきました。

メジャーなどで測ることで実際にどの程度の「浮腫」が存在するかを
視覚的に検査することができますし、リハビリ訓練の結果の効果判定にも有効です。

注意すべきところは、2種類あるうちのどちらか同一の方法で統一することですね。
同一の方法で検査する事で再現性が高まります。

また、患者さんに自主トレを指導する際に、目標設定が数字として明確化されます。

自主トレが本人に汎化されないのは、本人だけでは効果が実感しにくい
というのがあると思います。

数値であれば、やった分だけ成果が出ますし、うれしいと感じますよね。
テストで良い点数を取った時のように、もっと頑張ろうとモチベーションもあがると思いますよ。

↓橈骨遠位端骨折に関するまとめ記事はこちらです↓

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。