急性期OTでも家屋調査は必要!そのポイントについて解説!




こんにちは。作業療法士のトアルです。

自宅復帰に向けて行われる家屋調査ですが、回復期だけではなく急性期でも行う事があります。

今回はそのときのポイントについて解説させて頂きたいと思います。

家屋調査の意義とは

家屋調査の意義とは

・退院後、在宅復帰する場所の状況の評価
・退院後の居室・導線の確認
・在宅生活に必要な日常生活動作能力の評価
・退院後の生活を想定した具体的な生活のイメージの把握

他にも色々ありますが、このような感じでしょうか。

退院後の生活の情報の場を把握し、具体的な在宅の生活のイメージを想定することが大事です。

実際に対象者・ご家族が立ち会いますが、
医療関係者としてケアマネージャーやソーシャルワーカーが同伴することもあります。

退院後はケアマネージャーを中心に対象者を自宅でフォローしていくことになるためです。

 

家屋調査の方法と時期

家屋調査にはまず調査に行く場所を調べなければなりません。

初めに本人・ご家族などから家の見取り図などを書いてもらい大まかな情報を聴取します。
可能なら写真などを取ってきてもらい、段差などがあれば高さを調べてきてもらいます。

そうすると、家屋調査に実際に行く前にイメージが付きやすく、
手すりをどこに設置するなど、どこに環境整備を加えればよいか分かりやすくなります。

実際に家屋調査に行く場合には自宅周辺の状況を把握します。
まずは病院からご自宅までの大まかな道順を聴く必要があります。
(当然ですよね。)

昔だと地図帳を使っていたようですが、今だとカーナビや
「Google Street View」などがあるので便利ですよね。

これを使って、住んでいる地域への道順、航空写真から近隣施設の確認、
自宅に接している道路の幅・交通量などを確認します。

自宅周辺の情報も知っておけば、家屋調査で現地に行った際に
どこに車を止めればよいかや、対象者が外出される場合の安全な経路や
気を付ける所を本人や家族の方に指導することができます。

 

家屋調査の実施時期

家屋調査の実施時期についてですが、おそらく勤務先の病院により違いがあると思います。
ほとんどは「退院前訪問」を兼ねた家屋調査になります。

私が勤務している病院でも退院1週間前などに行うことが多いです。
早い所だと入院して1週間以内に行う場合もあるようですね。

 

家屋調査での住宅改修の注意点

家屋調査を行うときに注意したいのがセラピストの経験年数と
実際にどの位の回数、家屋調査を行ったことがあるかという経験値です。

さすがに1年目のセラピストを1人で家屋調査に行かせることは無いとは思いますが…。

私の勤務する病院では、経験年数や家屋調査の経験値がないセラピストの
担当患者さんの家屋調査に行くときは、主任クラス以上の経験のある人が
同伴することになっています。

その方が、対象者やそのご家族も安心できますし、
経験の低いセラピストも家屋調査について学べるところが多いと思います。

ここで一つ気を付けて欲しいことがあります。

実際に家屋調査に行く場合、同伴するケアマネージャーが
住宅回収業者や福祉用具販売業者を連れてくることがあります。

実際の家屋をみて意見を交換できることは歓迎されるべきことなのですが、
中には業者側の住宅改修時に営業努力が行き過ぎてしまい、
必要以上に住宅改修を提案されるケースがあります。

対象者のご家族も、改修費用について不安を抱えている場合があり
率直な意見を言いにくいこともあります。

ですので、原則として改修業者がいない場所で費用の検討をすべきです。
少なくとも、その場で判断せずに日を改めて相談する方が無難かもしれません。

言った言わないでトラブルになることも考えられます。

セラピスト側の注意点は、上記のことも踏まえて改修箇所は必要最小限にとどめるべきでしょう。
どうしても必要になれば、後から追加することも可能だからです。

家屋調査で実際にやる事

セラピストが家屋調査に行った際にやることですが

①導線の確認
②門から玄関までの階段・段差の有無
③居室でのベッドの使用の有無
④トイレ・浴室の段差の有無
⑤台所の使用状況

他にも色々行いますが、これらの評価を行います。
環境整備として多くの場合が、廊下やトイレ・浴室への手すりの設置になります。

また段差の高さがどれくらいか、居室からトイレ・浴室・台所までの距離はどれくらいなのか
などもメジャーなどを持って行き測ります。

後で見直せるように写真にとり記録として残していきます。

 

家屋調査が終わってから

家屋調査に行った後は必ず「報告書」をまとめます。

家屋の見取り図を作成し、手すりの設置場所や転倒のリスクの高い場所などを
書き起こしていきます。

このときに家屋調査で撮影した写真を一緒に掲載します。
そうすると具体的にイメージが湧きやすく、他職種間での情報共有にもなります。

セラピスト側も家屋調査に行くことで、家屋で行う必要がある動作を
シュミレーションしやすくなりリハビリ訓練で活かしやすくなると思います。

 

まとめ

今回は「急性期でも家屋調査は必要、そのポイントについて解説!」
について書かせて頂きました。

私の勤務している病院では家屋調査を行うこともありますが、
件数自体はそんなに多くはありません。

しかし、医療費の圧縮に伴い、転帰先が転院・施設ではなく自宅というケースも
増えてくるのではないかと思います。

家屋は対象者の生活の場の中心であり、対象者が安心して生活できるような場所に
する必要があります。

そのためにはセラピストの身体機能評価や認知機能評価が重要でその情報をもとに
他職種が連携していける体制づくりができるとよいのではないかと思っています。

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。