母指の関節構成の基礎知識について解説




こんにちは。作業療法士のトアルです。

今回は「母指の関節構成の基礎知識」について解説させて頂きます。

解剖学・運動学となると「ちょっと…」と苦手意識を持つ方もいるかもしれませんが
ポイントはそう多くはないです。

まず4つの骨である「大菱形骨」「第1中手骨」「基節骨」「末節骨」。
次に、それらの間にある3つの関節「TMC関節」「MP関節」「IP関節」。
そして、これらの関節の動く方向をさす運動自由度です。

運動自由度は以下のようになっています。
「TMC関節」は2自由度、「MP関節」は2自由度、「IP関節」は1自由度で
母指全体では5の運動自由度を持ちます。

まずはざっくりこれを覚えていてください。

今回はこれら3つの関節の1つである「TMC関節」について解説させて頂きます。

大菱形中手関節(TMC関節)の概要

TMC関節は英語での正式名称は「trapeziometacarapal joint」といいます。
日本語で「大菱形中手骨関節」といいます。

名前の付け方は簡単で「大菱形骨+中手骨をつないでる関節」
という順序で名前を付けています。

この関節の構造は、鞍関節で2つの直行している運動面を持ち、
「屈曲・伸展」「外転・内転」の2つの運動自由度を持ちます。
では、鞍関節とはどういう関節なのでしょうか?

 

大菱形中手関節(TMC関節)の骨構造

鞍関節はその名称から想像がつくように、馬の鞍のような形をしています。
TMC関節でいえば、大菱形骨の上部を「鞍」として、
その上に第1中手骨の下部が「人」のようにまたがっているような構造になっています。

まずはこういう形状の特徴を持っているということを覚えておいてください。

 

大菱形中手関節(TMC関節)の「開放肢位」と「閉鎖肢位」

TMC関節を軽度掌側外転位に持っていくと、
大菱形骨の遠位掌側面はゆるやかな曲面を持っているため、
その肢位での第1中手骨はあらゆる方向に動きやすくなります。

これを「開放肢位」(loose-pack-position)といいます。
この肢位は関節が最も緊張していない肢位になります。

これとは逆に、TMC関節を背側後方(掌側内転方向)にもっていくと
大菱形骨の背側凹部と第1中手骨底部の背側凸部がぶつかります。
形状上きれいにはまり込むんですね。

このときの肢位を「閉鎖肢位」(closed-pack-position)といいます。

母指の安静肢位

母指の安静肢位とは「開放肢位」(loose-pack-position)の位置のことになります。
これは、手掌面に対して約45°でやや橈側に傾いた掌側外転位にあります。

この肢位はC.Hamonet、P.Valentinによって定義された
筋電図学的静止状態の肢位に近い状態になります。

この肢位で生理的動揺性が獲得できることは
母指の機能的な再建の一つの指標となります。

 

まとめ

今回は「母指の関節構成の基礎知識」について解説させて頂きました。

母指の動きは極めようとすればかなり難しい所です。

今回は本当に基本的で知っておいて欲しいところを中心に解説させて頂いています。
機会があればさらに詳細な記事を書いていこうと思います。

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。