急性期での外傷性脳損傷後の評価方法について作業療法士が解説




こんにちは。作業療法士のトアルです。

今回は「急性期での外傷性脳損傷の評価方法」について解説したいと思います。

交通事故などによる外傷性脳損傷では病巣が広範囲であることが多くなっています。

MMSEなどスクリーニングなどの認知機能検査の成績は良好でも、
日常生活に戻ったときにその障害が表出される場合もあります。

受傷年齢層は幅広く、学校生活や職業復帰を目指す必要がある場合もあるため、
外傷性脳損傷では、急性期の経過から回復期→社会復帰までを支援する必要があるとされています。

受傷後の経過の評価で何を行うか、
自分が調べた事や自分の経験・見解をふまえて解説したいと思います。

救急搬送直後の状態

GCSで意識レベルのスクリーニングを行う事はありますが、
外傷直後のせん妄状態のときに認知機能を取ることはあまり意味がないとされています。

外傷直後で脳浮腫やびまん性軸索損傷が疑われる場合は、
脳の機能が全般的に低下している事が多く、正確な認知機能が図れない事が多いからです。

普通に考えれば、昏睡状態の方に認知機能検査を取ろうとは思いませんよね。

GCSだけでは長期予後予測が難しいため、GOS(Glasgow Outcome Scale)といわれる
評価を使用する場合もあるそうです。

 

GOS(Glasgow Outcome Scale)とは?

超急性期のデータから全般的な機能的予後を予測する評価です。

外傷の程度により色々な方がいますが、昏睡状態から回復してくるとリハビリの対象になってきます。
このときに問題となってくるのが「外傷後健忘」という状態です。

 

外傷後健忘(posttraumatic amnesia)とは?

「外傷性健忘」とは頭部への受傷後に、見当識などが障害され日常的な出来事など、
新しい情報を覚えておくことができない病態をさします。

改善する事も多く、見当識や日常的出来事を思い出す能力が持続するように
なったときに「外傷後健忘」は終了したとされます。

この判定として、GOAT(Galveston Orientation and Amnesia Test)という
検査が用いられます。

GOAT(Galveston Orientation and Amnesia Test)とは?

GOATは,氏名・現在日・場所といった見当識及び事故後の健忘を検査するものです。
評価項目は以下の表のようになっています。

GOATは、100点から表の配点にしたがって減点することで評価をします。
期間は昏睡から回復後協力が得られるようになってから、連日行います。
そして、75点以下の場合に外傷後健忘が続いていると評価されます。

GOATで評価する意義

この評価は脳損傷の重症度と予後の予測に有用であることです。
一般に、受傷後の昏睡期間を除き、GOATが75点以下の状態が14日以下であれば、
回復が良好な場合が多く、15日以上続く場合は予後が悪いとされています。

 

まとめ

一番大切なのは、患者さんの全体像を把握し、リハゴールを設定することです。

外傷性脳損傷は受傷年齢も幅広く、何が障害されているかを把握する事が必要になってきます。
そのための早期の神経心理学検査は予後予測に有効であるとされています。

臨床では以下のような神経心理検査があります。
詳細を知りたい方は各項目をご覧ください。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。