新人セラピストにオススメな触診の書籍5つをレビュー




こんにちは。作業療法士のトアルです。

今回は「新人セラピストにオススメな触診の書籍5つ」について紹介したいと思います。

触診って結構難しいもので、すぐにマスターできるものではありません。

最近では、実習形態も「クリニカルクラークシップ」に変わってきたということもあり、
患者さんに触れる機会も多くなってきたとは思いますが、それだけでは足りないという
現状もあると思います。

やはり、触診に関しては自己研鑽は必要だと思います。

ですが、学校のテキストだけでは十分でなく、自分で買い足す必要もあると思います。

リハビリでの触診関連の書籍は多く出版されていますが、値段もそれなりにするので、
全部買うなんてことはできません。

内容に関しても、自分に合う合わないがあったりもしますしね。

そこで今回は、私が所持している書籍の中でも「触診」についてのオススメ書籍について
紹介させていただきます。

『運動療法のための 機能解剖学的触診技術(上肢・下肢/体幹)』

この本は「上肢」「下肢・体幹」の2冊で構成されていて、別々に購入可能です。

 

臨床で使う基本的な触診技術を、機能解剖を含め詳細に解説しています。
オールカラーで読みやすく、触診する際のポイントや、注意点も詳しく書かれています。

内容の構成ですが、基本的な解剖学の知識を文字で1ページで説明しています。
項目としては4つでまとめられており、

【解剖学的特徴】 →「起始・停止」「支配神経」
【筋機能の特徴】 →「関節運動での働き」
【臨床との接点】 →「臨床でよく見られる、疼痛や可動域制限の要因」
【関連する疾患】 →「障害が出てくる疾患」

となっています。

文字だけでは伝わらない部分を補足するように骨・靭帯・筋の走行をイラストで解説。
これが、かなり分かりやすいんですよね。

解剖学の説明も箇条書きで書かれていて、くどくないので読みやすくいです。

難解な専門書の窮屈感がないのが、私としては好印象です。

また、臨床で役立つ内容がコンパクトにまとめられていているので、
読み返した時に「ああ、そうだった」とすぐに思い出せるのもいいですね。

触診の方法については、1つの部位に対して大体4~6枚位の写真で構成されています。
(すぐに触診できる個所はそれよりも写真は少ないですが)

写真の横には、検者の手の置き方や圧の掛け方などのポイントが書かれていて、
ランドマークを起点に実際にどうやって触れていくのかイメージしやすいのが特徴です。

そして、臨床に役立つコラム「Skill Up」が結構役に立ちます。
「豆知識」的なものなのですが、徒手検査法のコツやよくみる疾患の知識にも解説していて、
臨床でも患者さんへの説明などに役立ちます。

国家試験対策の知識と、臨床で役立つ知識は違う

臨床に出て感じる事ですが、国家試験対策の知識と、臨床で役立つ知識は似てるようで違います。

1つの筋や靭帯を触診で鑑別しても、意味がなく、それが「何のための触診なのか?」
常に考える必要がありますよね。

実際に触診した結果が患者さんの役立たないと意味がないんです。

私が臨床で触診を使う場面の多くは「疼痛箇所の特定」です。

「なぜ痛いのか?」「どこが痛いのか?」

1つずつ触診で紐解いていかないとどこが問題点がなのか分からなくなるんですね。

学生や新人の頃は、ひたすら1ページ目の【解剖学的特徴】や【筋機能の特徴】の項目を
読んでいましたが、経験を積むごとに【臨床との接点】の項目を見るようになりました。

実際の患者さんとリンクすることも多いので、読み返して気付くことも多く、
治療で行き詰った時のヒントにもなることもありました。

経験年数が低く、知識の少ない時ってとにかく視野が狭くなりがちで、
知識が間違っていても、それを盲信しがちになります。

「なぜ、そうなるんだろう?」を解決してくれる糸口にもなるのではないかと思います。

本書を有効に使うために

私がオススメする本書の使い方は、2通りあります。

1つ目は1人で勉強するときで、ひたすら写真を見ながら「イメージトレーニングをしてみる」
という方法があります。

このとき自分の体を触りながらやるのがいいでしょう。
ただし、この場合だと自分の手が届かないなどの限界があります。

オススメなのが2つ目である、他の人と一緒に触診の練習をすること。

お互いにフィードバックし合うことができるので、触診技術はかなり上がるのでオススメです。

 

『からだの構造と機能Ⅰ・Ⅱ』マニュアルセラピーを学ぶ人にオススメ

次にオススメしたいのがこの2冊です。

『からだの構造と機能Ⅰ』(脊柱の基礎・頸椎と頭蓋・胸椎と胸郭・上肢)
『からだの構造と機能Ⅱ』(腰椎・骨盤・股関節・下肢)

マニュアルセラピーを学びたい方やこれから学ぼうとする人には最適な本です。
マニュアルセラピーの経験を基にした多くの実践のヒントや病理学上のアドバイスが
丁寧に解説されています。

 

上巻の『からだの構造と機能Ⅰ』では、椎間板、頸椎、頭蓋、胸椎、胸郭、上肢を
400枚以上のイラストで解説していて、下巻の『からだの構造と機能Ⅱ』では
腰椎、骨盤および股関節、下肢を700枚以上のイラストで詳しく解説しています。

身体の触診法といえば、筋・骨・関節を思い浮かべると思いますが、この本では、
筋・骨・関節の構造はもちろん、神経系や血管も含めて解説されています。

特に役立つのは「病理学」「実践のヒント」です。

「病理学」については、視診での異常や触診のときの異常について、
正常とはどう違うのか解剖学の見地も交えながら詳細に解説しています。

養成校時代に使っていた教科書では知りえなかった事や、臨床に出てからしか
気付かないことなど、臨床に則した内容が書かれています。

「実践のヒント」は異常をどう見分けるのか、異常に対してどういうアプローチを行えば、
問題点が解決するのかが、解剖学的視点も含めて分かりやすく解説されています。

本書は基本的に、マニュアルセラピーの知識を深めたい方向けですが、そうでない方でも
上の記事ででオススメした『運動療法のための 機能解剖学的触診技術』を補填する書籍として
持っていて損はないと思います。

マニュアルセラピーとは「痛みをコントロールする技術」です。
臨床で痛みが取れず困っている人も多いはず。

これを機にマニュアルセラピーに興味を持っていただけると、患者さんのためだけでなく、
今後の自己成長や可能性をを大きく飛躍させるきっかけになるのではないかと思いますよ。

ドイツ筋骨格医学会日本アカデミーのHPはこちらです。

 

2019年度の最新書籍!『機能解剖と触診』

最後に紹介したいのが『機能解剖と触診』です。
2019年3月に出版された最新の触診関連の書籍になります。

 

2019年03月08日発行された、最新の書籍で全295ページ。付録でWEB動画が付いています。
監修者は工藤慎太郎先生で、名前を知っている方も多いかもしれません。
これまでも数々の機能解剖のテキストに携わってきています。

工藤先生が関わっている書籍の中でリハビリ部内でも評判がいいのが以下の2冊です。
『運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学』
『運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略』

 

私はまだ『触診と機能解剖』を購入していないのですが、病院で懇意にさせてもらっている
業者さんから本書を紹介され、中身を見せてもらいました。

オールカラーで内容はコンパクト、触診に特化した内容という印象でした。

私が思うにこの本の魅力は、230本に及ぶWEB動画です。

本で見て、思い出しながら考えて学ぶというのも一つの学習法としてはありだと思います。

なぜなら、患者さんの症状を自分なりに評価し、治療への道筋を立てて考る
「臨床的思考」(クリニカルリーズニング)ができてくるからです。

ですが、それが「本当に正解なのか?」という所を考えるとどうでしょう?
確信をもって「正解です!」と言い切れるでしょうか?

よほどの鍛錬を積んだ場合でないと、自信を持って自分の触診が正しいもの
であると言い切ることは難しいと思います。

特に、経験年数が足りない時や、触診に自信が無い時に間違った知識を入れてしまうと、
後々修正することが難しくなってしまいます。

経験年数が上がると、間違っていても人から指摘されることが少なくなりますからね、この業界。

なので、できるだけ早い段階で正しい方法を知る必要があるんじゃないかと私は考えています。

触診を学ぶには動画が早くて効果的!

通常の本で学習する場合は、基本的に静止画で自分の頭でイメージしていくのですが、
熟達した人の動きを見ないと「正解の最終形」イメージできません。

常によぎるのは「これで、ほんとにあってるのかな?」という不安感です。

これをほっといてしまうと、年数だけが経っていき結果的に
「自信はないけど経験年数だけが高いセラピスト」になっていくのではないでしょうか?

動画であれば、検者側の動きが詳しく見れます。

声の掛け方、触り方、動かす速さ、組織の走行…

確かに情報量は多いのですが、静止画と比べて得られる気付きはとても多く、
より自己成長を促せるのではないでしょうか?

おわりに

今回は「新人セラピストにオススメな触診の書籍5つ」について
紹介させていただきました。

正直なところ、リハ向けの参考書は値段が高いのが特徴です。

ですが、値段が高ければいい本なのかと言えばそうでもないこともあります。
文字が小さく、内容が理解しにくい場合も多々あります。

私も「これは、必要なかったかな…」という本を買って後悔した経験があります。

できれば、分かりやすく、自分が納得した本を選びたいですよね。

ここに紹介した本は私が購入して本当に良かった(購入したい)と思った本です。
もしよければ、購入の参考にしてみて下さい。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。