こんにちは。作業療法士のトアルです。
このブログを読んでいる皆さんは臨床で「自律神経」について意識しているでしょうか?
「自律神経」は養成校で生理学の知識として学びます。
作業療法士の国家試験でもよく出題されますよね。
過去問を何度も解くうちに、なんとなく正解は導けるようになるのですが、
本質的な所でしっかり理解していないと臨床場面で活かすことはできません。
自律神経については、結局国家試験に受かるための知識に
とどまっている可能性が高いんですね。
今回は自律神経にまつわる、最近読んだ面白い本を紹介させて頂きたいと思います。
「自律神経はどこまでコントロールできるか?」という書籍です。
作業療法士の菅原洋平さんが執筆している書籍です。
簡単に著者の略歴を紹介させて頂きます。
菅原洋平(すがわらようへい)
1978年、青森県生まれ。作業療法士。国際医療福祉大学卒。ユークロニア株式会社代表。
アクティブスリープ指導士養成講座主宰。
国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在はベスリクリニックで
薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を行い、
その活動はテレビや雑誌でも注目を集める。
出典:「自律神経はどこまでコントロールできるか」著者紹介文より
自律神経について分かりやすく理解するための1冊
この「自律神経」の知識を臨床場面で活かすには、自律神経について
自分で勉強していく必要があります。
ただし、これを自分で勉強しようとなると中々難しいです。
多分、生理学の本とにらめっこしても、今一つピンとこないと思います。
そこで今回は「自律神経はどこまでコントロールできるか?」という書籍について
紹介させて頂きたいと思いました。
知識・技術のレベルは違っても、同じ作業療法士の方が執筆されているので
親近感も湧きますし興味も湧きますよね。
この本の良い点
この本の良い点は、日常の生活の中で誰にでも起きる心身の不調のことを
例にとり、その時に自律神経はどういう働きをしているかについて
分かりやすく解説しています。
日常生活や身の回りで起きる事なので、自分事に落とし込みやすく思わず、
「こういう体の不調たまにあるなぁ」や
「落ち込んだ状態ではこういうことが自律神経で起きているから心身が不調になるんだ」
と納得できる内容になっています。
そして、その心身の不調に対してどう対処すべきかという問題解決まで書かれています。
これが重要なポイントだと思います。
問題点を上げるのは作業療法士・理学療法士・言語聴覚士は得意分野だとは思いますが、
それを解決するにはどうすればいいのか?が抜けがちになります。
この点をしっかり押さえている所は非常に好感がもてます。
問題点を解決しなければ意味がないですからね。
それでは、本書の第1章に書いてある部分を簡単に紹介したいと思います。
![](http://toaruot.com/wp-content/uploads/2018/09/dc05693244e129991363fb917ec32a62-1024x595.png)
私は、
5「夜になるとなぜか泣けてくることはありませんか?」
9「風邪を引きやすいことはありませんか?」
が当てはまりました。
これは元々の自分の性格や体質が原因なんだろうと思い込んで、
直そうにも直せないものと決めつけていました。
ですが、この一見直らなさそうなことでも、
実は、自律神経のコントロールが問題で解決方法はあったんですね。
本書を読めば「あぁ!なるほど!」という発見と
「自律神経に着目すれば解決できることもある」という問題解決の方法が分かります。
夜になるとなぜか泣けてくる
例えば、私は夜に急に泣けてくることがあります。
ですが、人の言うのは恥ずかしくて言えませんでした。
男性がこういう事言うのは、なんだか女々しくて、打ち明けられた側も困りますよね。
そんなこともあって、ずっと悩んでいました。
ですが、夜に泣けてくるのは、人の自律神経の観点から見ると正常な事で
なんら不自然な事ではないのです。
たとえば、昼に仕事が忙しくて、交感神経の働きが高まることが連日続いたとします。
すると、この高ぶっている交感神経を鎮めようと夜になって副交感神経が作用します。
交感神経が大きく高まりすぎると、それを抑えようとする副交感神経も大きく高まります。
副交感神経は夜に高まる傾向があるのですが、その度合いが大きすぎると
抑制が効きすぎてしまい、逆に泣けてきたりするのです。
そんなときは、我慢せずに泣けばいいのです。
泣けばスッキリしますし、考え方も変化します。
「昼に忙しすぎたんだな~。だから自律神経がそれを修正しようとしているんだ。」
と思えば別に恥ずかしいとは思わなくなりました。
人間の生理的現象であれば、割と受け入れはスムーズなんじゃないかなと思います。
今では、泣きたきゃ泣けばいいんじゃないという感じのスタンスです。
この本の難点
難点は専門的な化学物質の名称などがでてきますが、これは仕方がないですよね。
ですが、専門的な用語の数はそう多くはないので覚えやすいです。
逆に、これらの専門用語を使いこなせれば、周囲から一目置かれるかもしれません。
まとめ
本書は平易な文章でまとめられており、生理学を勉強してきたセラピストであれば、
理解はしやすい内容です。
養成校時代に聞いたことはあるけど理解は不十分だったというところを
補足できる内容なのではないのかなと私は思っています。
ここで「あれ?”9.風邪を引きやすいことはありませんか?”はどうなったの?」と
気付いた方もいるでしょう。
答えは本書をご覧になって下さい!
価値のある一冊です。興味のある方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
私はおススメします。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。