感度と特異度について作業療法士が解説




こんにちは。作業療法士のトアルです。

今回は「感度と特異度」について解説をしたいと思います。

これは神経心理学検査にもよく出てくる言葉です。
作業療法士の学会発表の準備で文献を読み込んだりすると思いますが、
この言葉なんのこっちゃ意味が良くわかりません。

意味については、ほぼスルー。

「とりあえず数値が高ければ信頼度が高いんじゃないの?」位の認識でした。
まぁ単純に勉強不足なだけなんですが…。

今回は気を取り直して、もう一度その意味を調べなおして自分なりにまとめてみようと思います。

感度と特異度の概要

「感度」と「特異度」とは「臨床検査」の有用性を評価する指標になります。

もう少しザックリと言うと、使用する「臨床検査」が疾患の有無を
どの程度正確に判定できるかを示す値になります。

感度とは?

「感度」とは、臨床検査の性格を決める指標の1つで、ある検査について
「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」
として定義される値になります。

特異度とは?

「特異度」とは、臨床検査の性格を決める指標の1つで、ある検査について
「陰性のものを正しく陰性と判定する確率」
として定義される値になります。

ここで「陽性」「陰性」という言葉が出てきましたが、どんな意味があるのでしょうか?
以下に詳しく解説していきますね。

陽性と陰性について

検査の結果「問題の疑いがある」と判定されたものを「陽性」といい、
そうでないものを「陰性」と言います。

しかし検査の判定には多少の誤差というのが生じます。

検査の結果が当てはまった場合に「陽性」、当てはまらない場合に「陰性」と
判定できればよいのですが100%完全に判定できません。

中には疾患があるのに「陰性」と判定されるもの、
疾患がないのに「陽性」と判定されるものが出てきます。

これらを表すために、「疾患が本当にある場合」に「真」という言葉を頭に付け
「疾患が本当はない場合」を「偽」という言葉を頭につけて表します。

・「陽性」で「疾患がある」ものを「真陽性」
・「陽性」で「疾患がない」ものを「偽陽性」
・「陰性」で「疾患がない」ものを「真陰性」
・「陰性」で「疾患がある」ものを「偽陰性」

上の条件を表で表すと以下のようになります。

十分な数を対象とした「疾患あり群」「疾患なし群」について検査を実施した場合に
表の4つの値から「感度」「特異度」を算出することができます。

感度の算出方法

感度については


となります。少しわかりにくいと思うので下の図を見て下さい。

「感度」の定義は「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」のことです。
つまり「真陽性」をあぶり出したいんですね。図を参考に理解してみて下さい。

特異度の算出方法

特異度については

こちらも図で解説すると以下のようになります。


「特異度」の定義は「陰性と判定されるべきものを正しく陰性と判定する確率」のことです。
どうでしょう?理解できたでしょうか?

まとめ

感度、特異度についてまとめると以下のようになります。

補足になるのですが、以下のような解釈もできます。

【感度について】
・感度が高いということは、その疾患の患者の大部分が検査が陽性になることを意味します。
・感度が高ければ、疾患(あり)患者のなかで検査結果が陰性になるもの、
すなわち偽陰性者が少ないということになります。
・感度が高い検査で検査陰性となれば、その疾患にかかっている確率は低くなります。

【特異度について】
・特異度が高いということはその疾患にかかっていないものの大部分が
検査陰性になることを意味します。
・特異度が高ければ偽陽性者が少ないということになります。
・特異度が高い検査で検査陽性となれば、その疾患にかかっている確率が高くなります。
・感度、特異度がともに高い検査では、その検査を行うだけで疾患の有無を判定できます。

少し難しいですが、覚えにくければ

感度 :「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」
特異度: 「陰性のものを正しく陰性と判定する確率」

と覚えておけばいいのではないかと思いますよ。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。