ディマンドとニーズについて作業療法士が解説




こんにちは。作業療法士のトアルです。

今回は学生さんの臨床実習でもよく聞かれる
「ディマンドとニーズの違い」について解説をしたいと思います。

私も学生の頃は
「患者さんのニーズって何?」「ニーズとディマンドを分けて考えないと混乱するよ。」
とよく言われました。

では、臨床経験がある程度経過した今、
私は対象者の「ディマンド」と「ニーズ」を分けて考え切れているのでしょうか?

答えは「…。」かもしれません。

そこで今回の記事では、この「ディマンド」と「ニーズ」の意味を再確認していきたいと思います。

そもそもディマンドとは?

ディマンドの意味ですが簡単にいえば「対象者の主観的な欲求・要望」です。

「ディマンド」とは対象者の「主観的」な欲求や要望、
まずはこれを知っておいて下さい。

対象者が障害を抱え、病前のような生活が送れなくなってしまった。
その時に対象者がまず何を望んでいるのかを聞き出すことが、
通常は「ディマンド」を聞き出すということになります。

具体例でいうと
「麻痺した手足が元通りに動くようになって欲しい」
「足の切断があったがまた走れるようになりたい」
こういった発言がディマンドである、と言うこともできます。

この「ディマンド」実は固定的なものではなく変化していくとされています。

ディマンドが変化していく理由は2つあります。
1つ目は対象者の身体の状態や回復状況が変わってくるため。
2つ目は対象者の環境が変化していくため。

この2つが変われば、対象者が「したいこと」は変わっていくのが普通です。
なのでディマンドと言っても対象者の身体の状態と環境から、段階的に分けて考える必要があるんですね。

上記の例で言うと「まずは初期介入時点でのディマンド」という視点を持って
おく必要があると思います。

しかし、セラピストとしての視点で対象者のディマンドを聞いてみると、
「それを現実的に叶えることは困難ではないか?」とか、
「別の所を改善した方がより楽に生活ができるのではないか?」
ということが出てきます。

それが次に解説する「ニード」になります。

 

二ードとは?

通常は対象者のディマンドを中心に、それが「実現可能か」という
客観的な見解を入れながら「ニード」を決定していきます。

つまり「ニード」とは対象者にとって「客観的」な必要性を持つものと
認識すればいいのではないかと思います。

客観的な見解を持つためには、身体機能面の評価、ADLなど動作レベルの評価が必要になります。

では、そのニードはどうすれば把握できるのでしょうか?

ディマンズの所でもお話ししましたが、ニードもディマンズに合わせて変化していきます。

理由としては、先に書かせていただいた2つの理由からです。
1つ目は対象者の身体の状態や回復状況が変わってくるため。
2つ目は対象者の環境が変化していくため。

この2つが時間の経過とともに変化し、対象者の「心鏡」「想い」を変化させます。

その時期ごとでの対象者のディマンズをしっかり聴きることが、
対象者のニーズを把握するということになると思います。

 

ディマンドを具体的にしていくには?

では、どうやって本当のディマンドを聞き出せば良いのでしょうか?

まず、理解しておくべき前提条件があります。

「実は対象者自身が何を望んでいるのかよくわかっていないことが多い」

ということです。

ディマンドを対象者から聞いたときに、「それが本人の要望なのだから」、
「本人さんがいつもそう言っているのだから」と発した言葉をそのまま受け取り、
ディマンドとしてしまうことがよくありますよね。

しかし、そこで「それは本当に対象者の望んでいることなのか?」
立ち止まって考える視点を持っていた方がいいと思います。

ディマンドを具体化する方法

人は何か欲求があって、それを満たすために行動を起こします。

ですが「何かをしたいと自分が認識し、言葉で具体的に表現できるか?」
言われるとかなり微妙なところです。

大体のイメージはあるけど、それをどう言葉にして伝えたら良いのか分からない、
ということが多いのではないでしょうか?

リハビリの対象者、特に急性期や回復期にあたる場合は、突然の身体の変化に困惑していて、
自分の要望や欲求を即答できる状況ではないと考えられます。

言葉にできたとしても、自身の身体がどうなっていくのか、今後の生活はどうなるのか、
まだ不安の中にあると思います。

その中でセラピストに「何がしたいですか?」と聞かれても、
対象者自身が正直よく分かっていないというのが普通だと思います。

ではどうすれば、ディマンドを具体化できるか?

対象者自身が、なにを求めているか明確ではないにせよ、
ディマンドをいったん聞き出すことは必要になってきます。

今度はそのディマンドが「本当に対象者が望んでいることなのか?」
常に疑問を持ちながら、関りを持つことが大切だと思います。

対象者と一緒にディマンドを見つけていくということが
最も理想的なのではないかと思います。

対象者と何度も関わっていると本当のディマンドはこれではないかと思えることが出てきます。
それが見えてくれば、そのディマンドを中心におきニードを決めるというのが理想だと考えています。

 

ニードを決めるときに考えること

例え、同じ疾患であっても、対象者の能力や背景によって、ニードは変わります。
本当のニードを見つけるためには、個別性の高い「その人の生活」を見据えた評価が必要になります。

ADLの評価バッテリーはFIMやBIなどがありますが、あくまで生活行為の中で基本的なものを
評価しているだけで、全てをカバーできている訳ではありません。

では、どんな評価を行っていけば良いか?

それには対象者としっかり「対話」をすることだと考えています。

個々の生活を評価していくには、とにかくコミュケーションをたくさん取り、
その人の「人となり」を知っていくことが必要なのだと思います。

 

まとめ

今回は「ディマンズとニードの違いについて」解説させて頂きました。

ディマンドは意外と対象者本人がわかっていないことも多く、発言と一致しない場合も多くあります。
そのためセラピストと対象者が協力しながら、リハビリの中で一緒に探していくという
考え方がとても大切になってくるのだと思います。

ニードについては、対象者の個別性に配慮したものが必要で、対象者の「人となり」や「生活」を
知ることが大切になってきます。

お恥ずかしい話ですが、急性期で勤務している中で、時間的な制約や業務の多忙さから、
対象者の想いを置いて行ってしまっているのではないかと思うことがあります。

今回の記事を書くにあたり、もう一度自分の行動を振り返ってみたいと思いました。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。