こんにちは。作業療法士のトアルです。
皆さんは「勉強しているのにちっとも頭に残らない」という経験はありませんか?
「本をたくさん読んでるのにすぐに忘れる」
「勉強会に参加しても臨床に応用できない」
と悩んでいる人も多いと思います。
自分の記憶力が悪いせいで、なかなか身につかないと思う方もいるもしれません。
結論からいうと「人間は入力された情報を忘れてしまうようにできている」のです。
「覚えておきたいのに忘れてしまう…。」
では、なぜそんなことが起きてしまうのでしょうか?
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人は重要なことしか記憶できない
エビングハウスというドイツの心理学者の研究によると
人間の脳は「関連性の薄いこと」はたった1ヶ月で79%も忘れるそうです。
「関連性の薄いこと」=「重要でないこと」と認識してしまい、
自然に忘れるようにできているのですね。
1ヶ月で79%も忘れるということは半年、1年と時間が経てばもっと忘れてしまいます。
しかし、全て忘れてしまうかというとそうではないようです。
自分の事に置き換えて考えてみましょう。体験的に分かると思いますが
「仕事でいつも使うこと」や「印象に残る出来事」は覚えているはずです。
つまり、脳は「自分にとって重要なこと」だけを記憶するようにできています。
よくよく考えてみると、生きる上でも「重要じゃないこと」を覚え続けるよりも
「重要なこと」を覚えていたほうが効率的ですよね。
では具体的にどうすれば、覚えたいことを「重要なこと」として記憶に残すことができるのでしょうか?
重要なことを「脳」に教える
「記憶に残すには一体どうすればいいか?」この問題を解決する方法があります。
その答えは「入力された情報が重要である」と「脳」に教えることです。
「脳が重要である」と判断する基準は2つあります。
1つ目は「日常的に繰り返し使う」
2つ目は「感情が動いたのか」
になります。
前述の例でいうと、
「仕事でいつも使うこと」は「日常的に繰り返し使う」
「印象に残った出来事」は「感情が動いたのか」
となり、それぞれ脳が重要と認識する条件と一致しますよね。
これを脳の解剖生理学で解説してみます。
「繰り返し」と「感情」が重要な理由
1.「日常的に繰り返し使う」
2.「印象に残った出来事」
この2つの項目を満たすことで、人の記憶は定着しやすくなります。
一般的に「記憶力がいい」というのは脳全体の働きがいいからと思われがちです。
ですが、脳も解剖学的に細かく見れば、各々の部分が特化した働きをしています。
「餅は餅屋」といいますが、得意な分野があるんですね。
「記憶力を良くする」には解剖生理学的に脳のどの部分が使われているのでしょうか?
そして、その記憶するためのメカニズムはどのようになっているのでしょうか?
記憶力を上げるには『海馬』を働かせよう!
まずは1つ目の「日常的に繰り返し使う」について解説します。
人間が情報を記憶するには「海馬」と呼ばれる部分をしっかり働かせることが重要です。
入力された情報は、まず初めに脳の「海馬」と呼ばれる記憶の保管場所に2~4週間ほど保管されます。
この期間の間に保管している情報に対して、何度もアクセスがあると、海馬はこの保管している情報を「重要な情報」「忘れてはいけない情報」と認識します。
そうすると、その情報は「長期記憶」の保管場所である「側頭葉」へと移動させます。
このような経路を辿り記憶が定着していきます。
記憶力を上げるには「大脳辺縁系」を働かせよう!
次に2つ目「感情が動いたか」について解説しましょう。
人の脳の中では感情を生み出す部分が存在します。その部分は『偏桃体』と呼ばれます。
上述した「海馬」の先端についているアーモンドのような形をした器官です。
人間は「喜怒哀楽」という「情動の変化が伴った出来事は忘れにくい」といわれています。
例えば「とても楽しかった思い出」や、「とてもつらかった思い出」というのは思い出しやすいのではないでしょうか?
この「楽しかった思い出」というのは、自分にとって「利益があったこと」が多いと思います。
これは「快の感情」と呼ばれます。
逆に「つらかった思い出」というのは、自分にとって「不利益があったこと」が多いのではないでしょうか?
これは「不快の感情」と呼ばれます。
自分にとって「利益のあったこと」=「快の感情」というのは、同じような行動を取ることで
再び利益が得られるというように記憶されます。
そして「不利益のあったこと」=「不快の感情」というのは不利益を避けるため、
その行動を避けるようにように記憶されていくのです。
これらの感情を伴っていく出来事が記憶に残りやすいのは、過酷な自然界の中で生き抜くための
進化の過程で必要な能力だったからと考えられます。
例えば、狩猟生活している時代を考えてみましょう。
狩猟時代では自分の利益は食料を得る事です。獲物をとらなければ餓死するため、
獲物がいる場所を覚える事は最優先事項となります。
逆に天敵がいるなど不利益を被る可能性がある場合は、自分の身を守るために、
天敵がいる危ない場所を記憶しておかなければなりません。
「利益」または「不利益」を受けた出来事を記憶するとき
人の脳では記憶を強化するための「脳内物質」が出されています。
次に、それらの脳内物質について解説します。
「感情」が動いたときに出る脳内物質
実は「快」「不快」の感情が動いているとき、記憶力を増強する脳内物質が分泌されています。
楽しいとき=「快の感情」が生じているときには、
脳の中で「ドーパミン」や「エンドルフィン」が放出されています。
逆に、恐怖や不安を感じた時=「不快の感情」にさらされているときには、
「ノルアドレナリン」や「アドレナリン」が放出されています。
これらの物質は、いずれも「記憶を増強」させる効果があります。
では、これらを使ってどうすれば記憶を高めることができるのでしょうか?
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この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
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