作業療法士が「指尖つまみ動作の基礎知識」について解説




こんにちは。作業療法士のトアルです。

今回は「指尖つまみ動作の基礎知識」について解説させて頂きます。

手指の動作って複雑で覚えにくいものだと思います。

いざ勉強しようと、教科書を開いても解剖学・運動学が複雑で分かりにくい!
かくいう私もそうでした。

なので、できるだけわかりやすくまとめていきたいと思っています。

つまみの種類を覚えよう!

つまみは、指の形態により4つの把持形式に分けることができます。

1つは「指尖つまみ」
2つは「指腹つまみ」
3つ目は「鍵つまみ」
4つ目は「側つまみ」

この機能は筋機能や指の感覚機能により、コントロールされ精密に行われます。

このコントロールは目には見えませんし、日常生活のことであれば無意識下で行われます。
人の手の器用さはこの機能があって成り立ちます。

 

指尖つまみ

指尖つまみは床に落とした細いものを拾い上げる動作のことです。
細いものの代表例は、針、つまようじ、シャーペンの芯などでしょうか。

日常生活では、ものを拾い上げる動作以外にも腕時計の小さなねじを回す動作や、
目覚まし時計のタイマー設定のつまみなどを回す動作も「指尖つまみ」が使われます。

パックに入っている飲み物のビニール入りのストローを開ける場合などにも
指尖つまみは使われますよね。

このほかにも、微妙な力のさじ加減を必要とする繊細な作業にも使われます。

 

指尖つまみには「爪」が必要

解剖学的に重要なのが「爪」の存在です。

例えば髪の毛などをつまむ場合は「爪」を使用することもあります。

例えば、深爪してしまった時などは細かいものはつまみにくいですし、
爪などが何らの原因でなくなった場合は「指尖つまみ」ができなくなることがあります。

爪は固いため指腹の弾力性を、受け止め支持する役割を持っています。
そのため「指尖つまみ」を「指腹-爪把握」と呼ぶこともあるそうです。

指尖つまみの運動と筋肉

指尖つまみは、母指のIP関節と示指のDIP関節を「屈曲」して行う動作になります。

また、母指と示指が向かい合う「対立運動」がその基盤になっています。

こうした作業では、母指や手指のIP関節やDIP関節・PIP関節を
細やかに屈曲・伸展させ目的動作に対応しています。

この動作のためには、手指の高度な巧緻性(協調性)は必要になりますが、
つまむための力はさほど必要ではありません。

指尖つまみでは、目的物は外在筋である「深指屈筋」や「長母指屈筋」の働きで
つまみ動作がおき、母指と手指の屈筋群の弛緩と、
ごくわずかな伸筋群の自然張力により手指全体が伸ばされて目的物が放されます。

ですが、小さなものを把持し続けるには外在筋の持続的な筋活動が必要になります。

指尖つまみは基本的に母指と示指での2点つまみになりますが、
中指を含めた3点つまみで行うこともあります。

 

まとめ

今回は「指尖つまみ動作の基礎知識」について解説させて頂きました。

巧緻性の高い動作で、非常に細かいものを操作する動作に
必要とされる動作になります。

私の経験では、手指の障害がないにもかかわらず高齢者の方で
この動作が苦手な方が多いような印象を受けます。

前述したようにストローの袋が開けられないなどです。

細かいものが見えにくいということもあるかもしれませんが、
指先の感覚のフィードバックや指尖つまみを行うための
筋力が衰えている可能性も考えられます。

必要であれば介助をしますができるだけ、対象者の方にやってもらった方が
いいのではないかと思います。

訓練にもなりますし、小さい成功体験かも知れませんが
本人の自己効用感にもつながります。

そして出来た後にはしっかりとほめてあげましょう。
ほめられて悪い気はしないはずですよ。

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。