こんにちは。作業療法士のトアルです。今回は書評になります。
紹介する本は「すごい!ホメ方」 著者:内藤誼人 出版社:廣済堂文庫
ちょっと前の本ですが、かなり面白い内容でした。
著者の経歴を簡単に紹介します。
内藤誼人(ないとうよしひと)
心理学者。立正大学客員教授。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。
社会心理学の知見をベースにビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ
心理学系アクティビスト。有限会社アンギルド代表。
出典:「すごい!ホメ方」著者紹介文より
これまでにも、心理学に関する書籍を多く出版されている方です。
本を読む前の私
私は「人を褒めること」にかなり疑問を持つ方でした。
なんだか無理して人に媚びているように感じるし「子供だまし」に思えたからです。
子供には「○○ちゃん偉いねぇ~」とも言えますが、
大人の人間関係には必要がないと思っていました。
ですが、この本を読んで私は気付きを3つ得ることができました。
1つ目は「褒めることで人を動かせること」
2つ目は「相談をすることが相手を喜ばせる行為であること」
3つ目は「褒めるときは自分は常に謙虚な姿勢でいること」
です。
1つ目の気付き
1つ目は「褒めることで人を動かせること」です。
本書によると、人を動かすには「褒める」と「叱る」という2通りの方法が
あるということで、この2つの方法、どちらも人を動かすことができる
のですが、「叱る」ことは「褒める」場合と比較してデメリットが大きいのです。
そのデメリットとは叱った方が「嫌われる」ということです。
これは人間関係を壊すリスクがとても高いのです。
また、「叱る」ことで人がすぐに動くという即効性はあるのですが、
叱られる方はネガティブな感情が芽生え、「叱られるからやる」という
不毛なサイクルに陥ってしまい、結局の所、両者の信頼関係は構築されず
効果は長続きしないということです。
逆に「褒める」であれば、時間はかかりますが
「嫌われる」という人間関係を悪化させるリスクを回避することができます。
また褒められることで「他者承認欲求」が満たされるため、
褒められた方は、ガゼン前向きに行動をとることができます。
2つ目の気付き
2つ目は「相談をすることが相手を喜ばせる行為であること」です。
実は私は今まで逆だと思っていました。
この記事を読んでいる方にもこう考えている人もいるのではないでしょうか?
「また、メンドクサイことを押し付けられた」というようにです。
ある意味当たってはいるのですが、本書を読んで少し考え方が変わりました。
どこが変わったかというと『相談されること=自分が信頼されている』という考え方です。
自分に置き換えて考えてみると、確かに相談するには
「信頼がある人」でないと相談しないですよね。
「信頼できない」と思っている人には仕事を頼まないはず。
ただし、相談するには条件があります。それは「頼み方」です。
「○○さんだから相談できる」
「○○さんくらい詳しくないと相談できない」
というように相手のプライドをくすぐるように相談を持ち掛けるというのがミソです。
これができないと、ただ押し付けられた感がバリバリに出るので要注意です。
3つ目の気付き
3つ目は「褒めるときは自分は常に謙虚な姿勢でいること」です。
本書によると「うぬぼれ屋が、人に一番嫌われる」とのこと。
ここで言う「うぬぼれ屋」とは、自信過剰で、自分が一番偉いと思って
他人の意見に耳をかさない人のことです。
リハビリ業界はこういう人が多いのではないでしょうか?
私もそうはなりたくないので、かなり気を付けているのですが、
自分が気付いていない所でこういった態度がでている可能性があります。
他の人は一度置いておいて、自分自身のことを振り返ってみると、
経験年数が上がるにつれて、こういった傾向は強くなると思います。
「自分の失敗を棚に上げて相手のあげ足を取る」
心の底からこんな人間にはなりたくないですよね~。
「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」
先輩・後輩・学生さん、分け隔てなく接することができる人間になりたいです。
内藤先生の書籍は、キャッチーなフレーズ(悪魔の○○など)がついていますが、
内容としては実に正統派です。
巻末や文章中には、必ず心理学の実験結果や参考文献が掲載されており、
学問的にも信頼が置けると思います。
機会があれば、何度でも読み返したい本です。
経験年数が上がるにつれて「人を動かすにはどうすればいいのか?」を考える
機会も多くなると思います。
セラピストの皆さまも、一度お手に取って読んでみることをお勧めします。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。