意識と脳幹網様体の仕組みについて作業療法士が解説




こんにちは。作業療法士のトアルです。

急性期病院で働いていると出会うことが多いのが「意識障害」です。
脳卒中や電解質異常、低血糖など様々な病態で見られます。

では、この「意識障害」はどうやって生じるのでしょうか?

臨床では頻繁に使われている言葉なのですが、よくよく考えてみると
「意識」って何だろうと疑問に思ったことはないでしょうか。

そもそも「意識」ってなにを指している言葉なのか?

「意識ってなんですか?説明してください。」

と言われると答えられない人も意外と多いのではないかと思います。

今回は「意識」とその働きを司る「脳幹網様体の仕組み」について解説させていただきます。

「意識」とは?

意識は「意識レベル(覚醒度)」「認識機能」の2つの要素で捉えることができます。
※「認知」(にんち)ではなく「認識」(にんしき)です。

この両方が正常に保たれた状態を「意識清明」といい、どちらか一方または両方とも
障害された場合を「意識障害」と呼びます。

ひょっとすると、勤務している病院でも微妙に呼び方が違っているかもしれません。
「意識」も「覚醒」も表現が曖昧で、分かりにくいんですよね

何を意図しているのかは、相手との会話の文脈で捉えなければいけなかったりします。
ですが、基本を押さえておけば対応はできると思います。

意識レベル(覚醒度)とは?

「意識レベル(覚醒度)」「外的刺激に対応する反応のこと」です。
この「意識レベル(覚醒度)」が、何らかの影響で低下した場合を「意識混濁」といいます。

段階としては

・意識清明
・傾眠
・昏迷
・半昏睡

・昏睡

に分けられます。

「意識清明」以外の4つ「傾眠」「昏迷」「半昏睡」「昏睡」が「意識混濁」になります。
「意識清明」でなければ、「意識混濁」と理解しておけばよいと思います。

「認識変容」とは

一方で「認識変容」は、上記の「意識清明」「傾眠」の2つの間のときに当てはまる言葉で、
発言の内容や行動に異常が見られる場合のことを指します。

例としては、年齢を聞いているのに、全く違うことを言ったり、目的のない起き上がり行動や
暴力行為などの不穏行動が見られる場合です。

ある程度覚醒していないと、周囲の状況に反応しないので刺激に対して身体が反応しなければ、
「認識変容」も生じません。ある意味、当然と言えば当然なのですが。

「認識変容」というのは、JCS:Ⅰ‐1~Ⅰ‐3レベルで生じるのではないかと思います。

次に脳の解剖学的な視点で見てみます。

「意識」大脳皮質と脳幹網様体により維持されています。

大脳皮質は、「意識の座」とされ、様々な認知機能を司っています。
脳幹網様体は別名「注意の司令塔」とよばれており、持続的な刺激を受けて
覚醒状態となり大脳へ注意を促す指令を出します。

↓「注意機能」について詳しくはこちらの記事を参考にしてみて下さい。

 

脳幹網様体の基本的機能構造

脳幹網様体は中脳・橋・延髄にかけて、網状の連絡線維と神経細胞が存在している構造部分のことをいいます。

網様体は「上行性経路」「下行性経路」があります。

「上行性投射」は睡眠・覚醒などの意識レベルの制御を行い、
「下行性投射」は運動制御を行う重要な役割を担っています。

 

網様体には、視覚を始め聴覚や体性感覚などの感覚野からの入力があります。

これらの入力は脳幹網様体の抑制や促進作用を受けて、大脳皮質や脊髄に投射され
皮質活動や筋の活動を調整する役割があります。

臨床で遭遇するケースとしては、脳幹の障害で起こる「除脳硬直」があります。

脳卒中で脳幹部に障害が生じると、この経路が破綻し「除脳硬直」という
異常な筋緊張が生じてしまいます。

 

意識は上行性投射により賦活される

意識は主に「上行性投射」により制御されています。

その役割は大きく2つあげられ、1つは大脳皮質全体に直接または、視床を中継した投射により、
覚醒の維持や睡眠に関わる役割です。

もう1つは、前述した皮質の機能を円滑に活動させるための制御機能としての役割になります。

外界にある多くの刺激の中から、必要で意味のある感覚刺激を選択し、
注意を向けるには、それに関与する皮質領域を活性化させる必要があります。

前頭葉は網様体に働きかけることで必要な皮質領域を選択的に活性化し、
意図した行為を円滑に実行させる役割を持っています。

 

脳幹網様体の身近な例

脳幹網様体の働きを身近な例でいうと、

「試験や面接があって心配で眠れない」
「やる事がなくて退屈で眠い」

などがあります。

「心配で眠れない」場合は、大脳皮質が過度に緊張し覚醒が亢進している状態で、
「退屈で眠い」という場合は大脳皮質への刺激が少なく覚醒が低下している状態といえます。

脳幹網様体には、あらゆる体性感覚や内臓感覚の線維が、大脳皮質に向かう主経路とは別に入力しています。

なので、体を揺さぶったり、大きな音で目が覚めることが起きます。

JCSやGCSの意識障害のスケールでも、揺さぶりや声掛けの反応は見ますよね。
それには、こういった理由があるのです。

まとめ

今回は「意識と脳幹網様体」について解説させていただきました。

急性期病院では入院時に、意識状態を呈している場合も多いのですが、治療により症状が安定し
ICUやHCUから一般病棟に移動されても、急性増悪により意識障害が見られることがあります。

リハビリ介入前には、必ずカルテや看護師の方から情報収集を行い、
前日と違った様子はないかや自分の目でフィジカルアセスメントを行い
患者さんの症状を見極めるようにしましょう。

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この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。