こんにちは。作業療法士のトアルです。
急性期では早期離床を安全かつ効果的に行う必要があります。
そのためには、病態や治療内容を理解して実施することが必要なんですね。
今回は脳血管の虚血性病変である「脳梗塞」の基礎知識について解説していきます。
理解の仕方ですが、まず「脳梗塞」は脳の血管が詰まる病気と覚えておいて下さい。
次に
「詰まった部分の血管の大きさ」
「どうやって詰まるか」
について理解していけば押さえやすいと思います。
Contents
脳梗塞とはどのような病気か?
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脳梗塞とは脳血管が閉塞するために血流が低下してしまい、閉塞した部分から抹消への
脳細胞に酸素や栄養(グルコース)の供給ができなくなり脳細胞が壊死する病気です。
脳梗塞の病型
脳梗塞は4つの病型があります。
閉塞の仕方にも種類があるんですね。
1.ラクナ梗塞
2.アテローム血栓性脳梗塞
3.心原生脳塞栓症
4.一過性脳虚血発作(TIA)
以下にその特徴を説明していきます。
1.ラクナ梗塞
「ラクナ」とは「小さな窪み」の意味です。
大きさは直径1.5㎝以下とし、脳血管の細い血管である穿通枝の領域に出現します。
細い血管が閉塞するので脳梗塞の範囲も小さいのが特徴で、比較的軽症であり
生命リスクは少ない傾向にあります。
注:1.5㎝以上のものはGiant lacunaとも呼ばれます。
2.アテローム血栓性脳梗塞
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「アテローム」は「体内の異物」という意味で、比較的太い動脈に生じます。
動脈硬化により動脈壁内へ脂質などが付着し、太い血管が細くなります。
血管が細くなると、太い部分と細い部分で血流の変化が生じます。
すると、血流の変化によって血小板が反応して凝集が生じ、結果的に血管が閉塞を起こします。
発生しやすい部位は頸部動脈や頭蓋内の皮質枝になります。
3.心原性脳塞栓症
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多くは心房細動(Af)による「心臓の血栓」が原因です。
心臓の血栓が小さければ、末梢部の細い血管まで移動します。
その場合は、血栓が小さいため梗塞される範囲はそれほど大きくはないのですが、
大きい血栓であれば、太い中枢部の血管を閉塞するため梗塞される範囲は大きくなります。
4.一過性脳虚血発作(TIA)
脳梗塞と同様の症状が出現します。
しかし、その後に症状が改善し「DWIで急性期脳梗塞の所見がない」のが特徴です。
発症から24時間以内に症状が改善します。
TIAになると、かなりの頻度で脳梗塞を発症しますが治療が早期に行われると
脳梗塞の発症は劇的に改善します。
脳梗塞の発生機序を理解する
脳梗塞を起こす機序は3つ。
1.「塞栓性機序」
2.「血栓性」
3.「血行力学性」
に分類されます。
1.塞栓性機序
血栓が飛び血管が閉塞する機序を「塞栓性機序」といいます。
脳塞栓症やラクナ梗塞はこれに含まれます。
例外として、アテローム血栓症の中でも「A to A」という病態もこれに含まれます。
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2.血栓性機序
「血栓性機序」は血管の内腔がアテロームにより徐々に狭窄し、狭窄部位が血栓で閉塞するものです。
この中でも「BAD」という病態は進行的に麻痺が進むことが特徴で、
現在、有効な治療法がないとされています。
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3.血行力学性機序
「血行力学性機序」とは脳血管の末梢部まで血流が届かないために生じます。
原因としては「脱水」による循環血液量の減少があります。
パターンとして
・主幹動脈に狭窄があり血流不全になる場合
・主幹動脈の閉塞後、側副血行路で維持していた血流が血流不全になる場合
の2パターンがあります。
脳外科での術後に生じる脳梗塞
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脳梗塞は開頭手術・クリッピング術・血管内治療などの術後にも発症します。
術中での判別は困難で術後に明らかになる場合がほとんどです。
動脈・静脈の止血処理や機械的刺激などの術中操作で生じる可能性が高いため、
脳外科医は血流速度をモニタリングし確認しています。
また、血管内治療による治療は微少塞栓が飛びやすいために
術後はMRIでDWI陽性所見の有無を確認します。
そのため、術前・術後での障害の評価を行うことはセラピストにとって重要です。
まとめ
今回は脳梗塞についての基礎知識を解説させて頂きました。
冒頭にも述べましたが、急性期で安全に離床を行うためには、
どういうリスクがあるかを知る事が大切です。
リハビリ中に急変しないかなど、事前に情報収集し推測することが大切です。
次回は治療内容や具体的に離床する際の注意点について解説させて頂きます。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。