レジスタンストレーニングの効果について解説




こんにちは。作業療法士のトアルです。

前回は「レジスタンストレーニングの筋収縮様式」について解説させていただきました。
で、今回はその続きである「レジスタンストレーニングの効果」について解説しようと思います。

レジスタンストレーニングを行った結果、どういう効果が得られるのか?

セラピストだけでなく、対象者である患者さんもそこが知りたいわけです。
効果がないのにやってますってのはナンセンスですよね。

前置きはこれくらいにして「レジスタンストレーニングの効果」
について解説していきます。

レジスタンストレーニングの期間での分類

レジスタンストレーニングの効果はトレーニング継続の期間で異なります。
大きく分けると「やり始めの初期の段階」と「継続的に続けていった長期の段階」
の2つの段階に分けられます。

健常の方でもトレーニングを始めると初めの方はきつかったりしますが、
段々とトレーニングに慣れてきますよね?

その時、体の中では何が起きているのでしょうか?
詳しく解説していきましょう。

レジスタンストレーニングの初期段階

レジスタンストレーニングの初期段階では「神経系の改善」が見られます。

トレーニングを開始して間もない期間は筋の横断面積の増加は見られません。

筋の横断面積が大きくなれば大きくなるほど、その能力が高まりますが、
レジスタンストレーニングの初期でも、まるで筋力が上がったかのような現象が見られます。

筋自体は大きくならないのに、なぜそのような現象が生じるのでしょうか?

それは冒頭で述べた「神経系の改善」が見られるためです。
「神経の改善」に関与しているのは「運動単位」です。

臨床1年目の方や実習生の方は覚えているかもしれません。
しかし、経験年数を重ねると「あれ?なんだっけ?」って場合が
多くなると思います。

私はPNFを学んでこの運動単位が大切であることを改めて学びました。
これを知らずにトレーニングしてますなんて言えないくらい重要な知識です。

話を元に戻しますが、レジスタンストレーニングの初期段階で
起こっているのは「神経系の改善」つまり「運動単位の動員の増加」になります。

これまで、筋力発揮に関与していなかった筋繊維を筋力発揮に参加させることができ、
結果的に筋力増加を得ることができます。

その他の要因として、α運動ニューロンの発射率上昇、同期化の上昇、中枢神経系の抑制低下、
ゴルジ腱器官の感度の低下、運動単位の神経接合部における変化があります。

 

トレーニング継続の効果「筋肥大」

トレーニングを長期の期間継続すると「筋肥大」が生じます。
「筋肥大」とは筋原線維の体積の増加のことになります。

筋原線維の体積が増加すると、筋繊維の直径が太くなり、クリアチンリン酸(ATP-CP)なども増加します。

また、この「筋肥大」速筋線維(type-Ⅱ)で著しく増加するとされています。

レジスタンストレーニングの効果についての研究

高齢者の筋力増加の研究に関しては、研究者によって年齢や
トレーニングの方法、効果判定に違いがあり単純に比較するのは難しいですが、
2016年にアメリカでLixandraoらが行った研究では
60歳前後の高齢者(男女)にレジスタンストレーニングを行わせたところ、
10週間で平均7~8%の筋力増強の効果があったそうです。

また、65歳以上の高齢者に対するレジスタンストレーニングの
運動機能面における効果としては椅子からの立ち上がり動作の所要時間の短縮
歩行速度の向上が見られたとの事です。

 

まとめ

今回は「レジスタンストレーニングの効果」について記事にさせて頂きました。
次回は「レジスタンストレーニングの運動処方」について記事を書こうと思います。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。