こんにちは、作業療法士のトアルです。
手には様々な機能がありますが、大きく2つにわけることが可能です。
1つは動的な作用、これを「把握動作」といいます。
そしてもう1つが手を固定した静的な作用、これを「非把握動作」
別名を「圧排動作」といいます。
今回は、この「把握動作」と「非把握動作」が
どういう働きを持つかについて解説していこうと思います。
把握動作とは
把握動作とは「手が一つの目的動作の中で動的に行われている動作」のことです。
この把握動作には2つの形態的な特徴があります。
1つは動作の中で指の指腹が主に使われ、手掌が関与しない「つまみ動作」
もう1つは手全体が一体化して動く「にぎり動作」になります。
これらについては、以下の記事でまとめてますのでよろしければご覧下さい。
非把握動作とは
非把握動作は静止肢位で使われ、
「手の平を開いた状態」で使われることが多いです。
「把握動作」は動作を伴うため、目で捉えやすい作用といえます。
しかし「非把握動作」は静的な作用であり、目で捉えにくく普段の生活の中では
あまり気に留めることはありません。
そのため、非把握動作は「手の隠れた機能」といえるかもしれません。
ものを持つときの非把握動作
例えば、顔を洗うときに水をすくう動作や、お椀や丼の器を持つ動作
スポーツではバスケットボールやバレーボールを持つ動作が上げられます。
これらの目的とする動作や対象物の形状により手は形を変えていきます。
このときの手は、持続的に何かを支えるという意味で
「静的な道具」といえるかもしれませんね。
ものを押すときの非把握動作
また、ものを持つという以外にも非把握動作で
手を開きながら行う動作はあります。
例えば、扉を押す、壁を押すなどがあります。
これらは地面に垂直に備え付けられた平面を押す動作になります。
「基本動作」と呼ばれる「寝返り」「起居」「座位」「起立」動作は
座面(地面)に対して行う動作です。
この中で「起立動作」に焦点を当ててみると、手指のDIP・PIP・MP関節の
可動性が重要になります。
この関節が十分に伸展位を取ることができないと、立ち上がり動作で
地面を押すときに動的な安定性を欠いてしまいます。
試しにやってみると分かりやすいはずです。
座面に掌を開いて起立する場合と手を握り込んで起立する場合を比べてみて下さい。
手を開いたままだと支持基底面が広くなり安定性が増すのですが、
握ったままだと支持基底面が狭く起立のときに不安定になるはずです。
その上、手を握ったままでの動作では手関節にかなりの負担がかかると思います。
これが続くと関節の慢性的な疼痛につながることも考えられます。
手指の可動域を維持するっていうのは結構大切なんですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「把握動作・非把握動作」について解説させて頂きました。
把握動作に関しては気を払うことも多いと思いますが、
非把握動作もADL動作では大切になります。
ここでは、起立動作の説明を上げましたが他にも色々あると思います。
少し意識してみると視野が広がると思いますよ。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。