手指5本を3つの分割!読めばわかる「手指の機能役割区分」




 

こんにちは、作業療法士のトアルです。

 

理解するのに手こずる手指の機能ですが、
5本の指を大きく3つに分けることで理解が進みます。

覚えることは少ない方がいいですよね。

これを手の「機能的役割区分」といいます。

 

今回はこの「機能的役割区分」ついて解説させて頂きます。

 

手の機能的役割区分て何?

手は3つの機能に区分することができます。

どういう風に分けるかというと

「橈側動的区分」「中央静的区分」「尺側動的区分」

に分けられます。

言葉だけの説明では難しいんですが、骨ごとの解剖に分けて
図を見てみると分かりやすいです。

橈側動的区分:第1区分  母指列
中央静的区分:第2区分 示指・中指列
尺側動的区分:第3区分 環指・小指列

 

この機能的区分の分類の基準なんですが、
「母指」「示指ー中指」「環指ー小指」中手骨手根骨の可動性に由来しています。

つまり、手根中手関節(CM関節)ごとに区分しているんですね。

 

橈側動的区分とは

橈側動的区分は「母指」のことを指しています。

母指は人が進化の過程で獲得した大きな機能の一つで、
手の機能を大きく発展させた要因にもなります。

母指の対立ができることで、ものを握ったり(把握動作)
手を大きく開いて、お盆などを安定して支える(非把握動作)ことができます。

母指の対立運動は、手の運動で母指が他の手指に向かい合う動作をいいます。

母指の対立運動に重要な関節は第1中手骨と大菱形骨を結ぶ
「大菱形中手関節」(第1CM関節、別名:TMC関節)で、
この関節は「鞍関節」であり2つの運動面※1を持っています。

また、母指の位置が他の4つの手指と空間で対面していることが
対立運動に必要な条件とされています。

この中で特に重要なのは、中央静的区分(示指・中指)との関係です。

母指と中央静的区分の安定性はとても高く、精密な巧緻性が必要な作業や動作には
不可欠な要素になっています。

普段の生活で、あまり意識しない「つまみ動作」はこの中央静的区分が
重要な役割を果たしています。

※1母指の動きとしては実際には3次元運動ができるとされています。

 

中央静的区分とは

中央静的区分は「精密な動作」=「つまみ動作」を支える重要な部分です。

解剖学的に言えば、手の中央である「示指・中指」で構成されています。

注目して欲しいのが示指・中指の中手骨である第2中手骨と第3中手骨、
それと手根骨を結ぶ「CM関節」です。

第2中手骨小菱形骨と連結しており「第2CM関節」とよばれ
第3中手骨有頭骨と連結し「第3CM関節」と呼ばれます。

このCM関節は、ほぼ可動性がないといわれていますが
第2CM関節と第3CM関節でそれぞれ特徴があります。

 

第2CM関節の特徴

第2CM関節は若干の可動性を持っており、手に負荷がかかった場合
この可動性により衝撃の吸収を助けるとされています。

可動域としては7~13°の屈曲が可能であるとされています。

第3CM関節の特徴

第2CM関節と異なり、第3CM関節はほとんど動きがありません。

中央静的区分の特徴

中央静的区分は手根中央関節も含んでおり、第2・3CM関節、遠位手根列は
協働して働き、一つの塊として機能します。

ただ可動性はまり大きくないので、この部分は「静的部分」を担っていて
この中央静的区分は手の作業や動作の機能的な安定性を保つ役割をしています。

尺側動的区分とは

尺側動的区分は「環指・小指」で構成されています。

この2つの中手骨は第4・5中手骨で、それぞれ有鈎骨と関節を成しており
それぞれ第4・5CM関節と呼ばれます。

第4・5CM関節は鞍関節ですが、他の中手骨と横並びになっており
側方への運動が制限されるために、屈曲・伸展方向への動きが主体になります。

ただし、第4・5CM関節は単独で動くことはほとんどなく
手を使う上で行われる動作の現象の1部としてとらえた方がいいようです。

どういう動作でこの現象がみられるかというと対立動作を行う場合です。

対立運動を行うと第4・5CM関節は母指と向かい合うように動きます。
これには手の「横アーチ構造」が保たれている必要があります。

「横アーチ構造」の構成には遠位手根列の配置が重要です。

理由としては遠位手根骨の有鈎骨と第4・5中手骨でCM関節を構成しているため
それが破綻していると横アーチを構成できず、正常な対立運動ができなくなるためです。

また、第4・5CM関節の動きが制限されていても
対立運動を行うことができなくなります。

そうなると対立運動の一つである「にぎり動作」に影響が出ます。

対立運動には母指の対立運動も必要になるのですが、
尺側動的区分も不可欠な要素になってきます。

第4・5CM関節の屈曲動作はボールを握る動作で
運動調整を行うときに必要な機能になります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は「手の機能的区分」について解説させて頂きました。

それぞれの手指がどういう役割を持つのか、機能面から理解することも重要です。

数が多いと覚えにくいのですが、解剖学・運動学をひっくるめて理解すれば
とっつきやすいのではないかなと考えています。

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。