レーヴン色彩マトリックス検査の評価・理解・解釈について作業療法士が解説!




こんにちは。作業療法士のトアルです。

今回は「レーヴン色彩マトリックス検査」についての知識を整理したいと思います。
皆さんはこの検査行った事があるでしょうか?

「聞いたことはあるけどやった事が無い」
「どんな目的で行うの?」
「どう解釈すればいいの?」

など色々な疑問があると思います。

今回は私の経験も踏まえて、解説していきたいと思います。
(個人的な見解がある所もあります。)

目的

知能検査のスクリーニングに主に用います。
知能の中でも「推理能力」を推し量る検査です。

この検査をしたことが無い人に簡単に説明すると「穴の開いた図形に、適切な形を当てはめて下さい」
といった感じになります。

そして、ここで「知能」という言葉について補足します。

つまり、レーヴン色彩マトリックス検査は2番目の定義に当てはまり、
「非言語」的な検査であるため、記号(図形)を使用した思考能力になると理解しています。

 

特徴

非言語性の課題で言語を使用できなくても正しい図案を選択できれば検査は可能です。
つまり「はい、いいえ」の意思表示ができればいいんですね。

そのため、言語障害や運動障害のある患者でも検査できます。

検査時間が短く、対象者に対してストレスが少なく発達障害や重度失語症の方にも実施できます。

基本的には座位で取りますが、ベッドサイドでも可能です。

【適応年齢】
・45歳以上が適応となっています。

【施行時間】

・約10~15分。

【用意する物】

・色彩マトリックス検査用テキスト
・色彩マトリックス検査記録用紙
・ストップウォッチ

 

内容

標準図案の欠けている箇所に合致する図形を6つの中から1つ選択します。
セットA~セットCまで各12問ずつあります。

・セットA:連続した模様の同一性と変化についての理解と推理
(問題はA1~A12まで)
・セットB: 個々の図の空間的に関連している全体としての理解と推理
(問題はB1~B12まで)
・セットC:空間的にあるいは論理的に関連している図の相似の変化についての理解
(問題はC1~C12まで)

 

検査手順

・A1~A12→B1~B12→C1~12の順で行います。
・「時間制限は原則なし」ですが、評価として反応時間を図ります。(セットごとに計測)
・利き手、聴力障害、視力障害を確認します。

 

判定方法

※下記数値との乖離で判断します。

解釈

レーヴン色彩マトリックス検査の解釈ですが、推理能力低下(知能低下)や、
構成障害の影響を受けやすいと言われています。

この検査は指差しや口頭での解答が可能なため、直接的な構成動作(上肢の運動)は必要としません。

課題である図形の形や色から、欠如した部分の規則性を推理するため
「能動的」なイメージを構成する能力が必要とされています。

構成能力は流動性知能(特に非言語性)と関連があるとされています。

※流動性知能について詳しく知りたい方は以下の記事を見てみて下さい。
結晶性知能と流動性知能について作業療法士が解説

結果の解釈としては健常の標準偏差と比較し、認知症での構成能力の低下なのか、
別の脳の器質的疾患で構成能力が低下しているのかを鑑別する必要があります。

まとめ

構成障害の中心となる症状は
「視覚対象の位置関係を捉え、空間操作をすることの障害」です。

構成能力が必要なADL・IADL動作としては以下の様なものが挙げられます。

〈移乗〉
・座面と臀部の距離感を測れない
・アームレストの距離感がわからない

〈階段昇降〉
・段差の奥行がわからない

〈更衣〉
・衣服の上下左右がわからず着られない
・ボタンを掛け違えてしまう
・衣服を形よくたたむのが苦手

〈書字〉
・字の形を整えにくい 、乱雑になる
・枠内に文字を書くとき、書く場所が定まりにくい

〈調理〉
・調理の際に包丁で等間隔に物を切れない
・食器を元の場所に戻せない

検査はあくまでも検査であり、これに予後を踏まえ、補っていく方法を考えるのが
作業療法士の役目なのではないかと考えています。

今回は自分の経験も踏まえて
「レーブン色彩マトリックス検査」について説明させていただきました。

この記事が皆様のご参考になれば幸いです。