後輩・実習生の指導を左右する、ティーチングとコーチングの違いとは




こんにちは。作業療法士のトアルです。

後輩や実習生の能力を高めていくためには「教育」が必要不可欠になります。

しかし、いざとなるとどのように教えればいいのか
悩んでしまう方も少なくないと思います。

中々、指導の成果が出ずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

「教育」には「ティーチング」「コーチング」という2つの手法が存在します。

選ぶ手法によって得られる効果が異なり、両方を組み合わせて活用する場面も少なくありません。

この記事では「ティーチング」と「コーチング」の概要から、活用事例までをご紹介いたします。

「ティーチング」と「コーチング」の意味とは?

では「ティーチング」「コーチング」という言葉には、
それぞれどういう意味があるのでしょうか?

 

ティーチングについて

ティーチングとは「ティーチャー(teacher)」という言葉が由来で、
教師側が生徒側に答えを教えることで成り立つ指導方法です。

経験や知識が少ない相手に対して、必要な情報や技術を具体的に教えるということです。

例を上げると、学校の一般的な授業は答えを持っている先生が
知識や経験の少ない生徒に答えを教えるなどです。

リハビリの後輩と先輩の関係で言えば、後輩の質問に対して
先輩が論理的な答えを与えることで、即効性のある問題解決の方法を教えることができます。

しかし、ただ答えを与えるだけでは「ティーチング」の効果は発揮されません。

以下の3つのポイントを意識することで、「ティーチング」の効果を最大限に
活かすことができます。

【ティーチングの効果を高める3つのポイント】
・WHY (なぜやるか)  → 「理由」
・WHAT (何をやるか)  → 「方法」
・HOW( どうやるのか) → 「手段」

与える答えは論理的に「理由」・「方法」・「手段」を分かりやすく伝えることが大切です。

伝えたあとには、相手がしっかりと理解できているか、
また与えた答えが正しく伝わっているかの「確認」(フィードバック)をする必要があります。

ここでいうフィードバックとは具体的にいうと「相手に聞き返す」ことです。

リハビリではお馴染みのフィードバックですが、
こちらがバイザーや先輩の立場だと一方的にしゃべってばかりいて、
相手に聞き返さない場合もあります。

これだと、相手がちゃんと理解しているか確認できません。
言われた方も、情報量が多いと脳がパンクしちゃいます。

そうすると、後輩や実習生は「ティーチング」したことが、
行動として反映できないことがあります。

そうすると、バイザーや先輩の立場としては「あいつはできない奴だ」とレッテルをはってしまいますし、
後輩や実習生も教えられたことが理解できないことに対して委縮してしまい、
本来のパフォーマンスを発揮できないことがあります。

そうすると、お互いの関係性にヒビが入ってしまいます。

これでは双方ともストレスになりますよね。

こうならないためにも、どこまで理解しているのかを
しっかり「確認」する必要があります。

社員研修などで社員に対してルールやマナーを教えるとき、
実際にロールプレイングをやりながら指摘を行うことは
改善効果が期待できる方法のひとつと言われています。

 

コーチングとは

「ティーチング」が「答えを与える指導法」であるのに対して、
「コーチング」「自身に答えを考えさせる指導法」になります。

ですが、後輩・実習生からの質問に「自分で考えろ!」と言っても
「コーチング」は上手くはいきません。

「コーチング」を行う場合、後輩・実習生が自発的に質問して、
自身で答えを導き出せるようなサポートをする必要があります。

そのためには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。

【コーチングをする場合の3つのポイント】
・何をどう考えているのか、後輩・実習生の意見をしっかり聴く
・部下の意見に対して、疑問や質問を投げかける
・成果を認め、しっかりと褒める

ここで上げたように「コーチング」では「傾聴」「質問」「承認」
を徹底することが、重要なポイントになります。

以下にそれぞれの意味ついて解説いたします。

【傾聴】
今の段階で後輩や実習生はどのように考え、どんな意見を持っているのか
最後まで注意深く聴きます。

やりがちですが途中で意見や否定を絶対に挟んではいけません。

最後までじっくりと話を聴き、部下に「自分の話を聴いてもらえる」という
安心感を与えることが大切です。

【質問】
「コーチング」で行う「質問」は、後輩・実習生に対して答えを求めるものではありません。

後輩・実習生の意見に対して、別の視点からの質問を投げかけます。
そして本人に考えさせることで、自発的な答えと行動を促すという意味があります。

【承認】
「コーチング」では相手の存在を認めて、しっかりと「褒める」のも重要な項目です。

結果に対する圧力を与えるだけでは、後輩・実習生のモチベーションが下がってしまいます。

「新たにできるようになった部分」を認めて褒めることも
「コーチング」のひとつです。

「コーチング」は自発的に行動できる人間を育てるのに適した指導方法ですが、
より効果を高めるためには、先輩やバイザーが後輩・実習生からの信頼を得る必要があるのです。

「ティーチング」と「コーチング」の長所と短所

「ティーチング」と「コーチング」にはそれぞれ長所と短所があります。
教育が上手いと言われる人の多くは「ティーチング」と「コーチング」を状況によって
使い分けたり、組み合わせて使っているのです。

「ティーチング」と「コーチング」の長所は今まで述べてきたので
以下の記事では短所について解説します。

 

ティーチングの短所

論理的で明確な答えを与えれば、後輩や実習生はすぐに
その知識やルールを理解して習得することができます。

しかし、すぐに答えを与えてしまうということは、
後輩・実習生が「自分で答えを考えて行動する」という自主性が損なわれる
可能性があるのです。

基本的なルールや知識を教える段階であれば問題ありませんが、
ある程度の基礎能力に達している場合には「コーチング」の方が
適していることが多くなります。

コーチングの短所

自身で考えさせて答えを導き出す指導法のため「コーチング」がうまくいけば、
自主的に行動できる人材に成長してくれるでしょう。

しかし、自身で考えて答えを出すための基礎能力が足りないと、
悩み続けて潰れてしまう可能性があります。

以上が「ティーチング」と「コーチング」の短所です。

「ティーチング」と「コーチング」それぞれ長所と短所がありますが、
ふたつを併用することで両方のデメリットをカバーすることができます。
本人自身に考えさせる部分と、答えを与える部分を状況に応じて
使い分けられるのが、理想的といえます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
「ティーチング」と「コーチング」の技術は、すぐに習得できるものでは
ありませんが、時間をかけてこの技術を獲得できればこの方法で、
後輩や実習生が飛躍的に成長する可能性があります。

私もこういった指導方法があることを職場の上司から教えて戴きました。

経験年数が上がるにつれて指導するということが多くなると思います。
「ティーチング」や「コーチング」といった指導方法があることを知っていても
損はないと思いますよ。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。