セラピストがアウトブレイクの引き金に!「感染症予防」の基礎知識




 

こんにちは。作業療法士のトアルです。

 

今回は「感染症予防」についての記事を書かせて頂きます。

 

私の通っていた養成校では感染症に関する十分な教育を受ける機会が少なく、
短期・長期実習のときは自分で勉強したのを覚えています。

 

本格的な「感染症予防」については就職してから研修を通して学習しました。

 

多分、「感染症予防」についてはそういう方が多いのではないでしょうか?
そこで、今回は「感染症予防」についての基礎知識や対応方法について
解説させて頂きます。

 

セラピストはアウトブレイクを起こすリスクが高い

セラピスト(PT・OT・ST)は訓練で患者さんと近距離や直接接触する機会も多い職種です。

感染源を保持している患者さんと濃厚接触する可能性が高くなり、
セラピスト本人が感染してしまうこともあります。

また、セラピストは各病棟へ行きベッドサイドの訓練を行うことも多いのですが、
これは各病棟に固定で配置されることが多い看護師・介護士など他職種にはない行動になります。

そのため、感染源を持っている患者さんに接触した後に別の患者さんに接触すると
その患者さんが感染してしまうというケースも考えられます。

これが次々に起こると「アウトブレイク」となってしまします。

 

アウトブレイクについての基礎知識

「アウトブレイク」とは院内感染での大量発生を指し、
定義としては以下のようになります。

ある限定された領域の中で感染症にかかった人間、またはその他の生物の小集団を指す。
                              出典:wikipedia

一般的には、2または3名以上で同一の病原体が条件となり、
アウトブレイクの基準の人数は各病院で定義されています。

アウトブレイクが発生した場合、病棟を閉鎖・外来を停止するなど
病院の経営的打撃・存在の危機になる可能性があります。

セラピストはアウトブレイクを惹起する可能性が高いため、
アウトブレイクに対しリハビリ部門に特化した管理マニュアルの作成は必須になります。

このアウトブレイクを防ぐためには標準予防策が必要になります。

 

標準予防対策とは何か

「標準予防策」とは、検査で明らかとなる感染症の有無に関係なく、
未知の感染症に対しても予防策を行うという考え方です。

これは、1996年にアメリカ疾病管理予防センターが発行した
隔離予防策ガイドライン(CDCガイドライン)により提唱された

「感染症の有無にかかわらず、すべての患者に適用する疾患非特異的な予防策」

のことをいいます。

具体的に以下のものを感染源としています。

 

標準予防策を行う意味

セラピスト(PT・OT・ST)の立場で感染予防策を考えるときには
感染が起こる要素として3つの要因があります。

1.感染源
2.感染経路
3.感染を受けやすい宿主(感受性宿主)

感染予防のそれぞれの対応方法として

1.感染源の除去
2.感染経路の遮断
3.感受性宿主への対応

があげられます。

この3つの対応を行えば、基本的に感染を防ぐことができると考えられています。
この中で重要なのは2.「感染経路の遮断」が最も有効な感染予防策といえます。

感染経路について

上記の3の要素のうち「2.感染経路」は以下のように分類されます。
各感染経路によって予防対策も異なってくるので覚えておくようにしましょう。

1.接触感染:疥癬、MRSAなど
2.空気感染: 結核 、水痘、麻疹、レジオネラ肺炎
3.飛沫感染:インフルエンザ、風邪、アデノウィルス、流行性耳下腺炎、風疹
4.経口感染: はしかなど
5.血液感染: HIV、B型肝炎、C型肝炎など

では、ここからはセラピストと関りがある
「接触感染」「空気感染」「飛沫感染」を取り上げて解説していきます。

 

1.接触感染

接触感染は以下の2つに分類できます。
①直接接触感染
②間接接触感染

①直接接触感染
これは「直接接触することにより伝播する感染」をさします。
例.患者さんのケア時に皮膚への接触。

②間接接触感染
これは「間接的に感染源が何かを介して伝播することで生じた感染」をさします。
例.清拭ケア後に手袋を外さず、カーテンを触る。
「間接接触感染」の対策は、前述した直接接触感染と同じになります。

 

2.空気感染

空気感染とは
「小粒子残留物(5㎛以下の粒子)が空気の流れにより拡散することで生じる感染」
をさします。

 

3.飛沫感染

飛沫感染とは
「微生物を含む飛沫が短い短距離(1m)を飛ぶ(5㎛以上の粒子)ことで生じる感染」
をさします。

 

空気感染と飛沫感染の違いなんですが、違いは以下のようになります。
・感染源自体が大きいため遠くに飛ばず、床へ落ちやすい。
感染源が広範囲に広がらない。

 

感染経路別に予防対策が必要

感染経路別予防対策は、「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」など、
それぞれの感染経路ごとに対策を実施する必要があります。

 

標準予防対策と感染経路別予防対策

医療・介護現場での感染予防対策は大きく2つに分類できます。

標準予防対策
どの様な感染経路化に関わらず、全ての患者に対して実践すべき予防対策です。
※標準予防策については上記参照してみてください。

感染経路別予防対策
各感染経路に対応した予防対策になります。

以下の表を参考にしてみて下さい。

 

感染経路別予防対策の具体例

「米国疾病管理センター」が刊行したガイドライン(CDCガイドライン)に掲載されている
様々な感染予防対策の表になります。
※一部省いてます。

これらは標準感染予防対策、あるいは経路別感染予防対策として利用されています。

 

 

まとめ

冒頭で説明したようにセラピストは感染経路を作ってしまう可能性があります。
そのためには感染に対する知識を身に着けておく必要があります。

標準予防策はそのために必要なものになります。
手袋やガウンの着脱方法は「PPE」と呼ばれており
是非身に着けておきたい技術になります。

詳しくはPPEをクリックしてみて下さい。(外部リンクになります。)

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。