K(カリウム)の異常値で知るべき4つのポイント




 

こんにちは。作業療法士のトアルです。

前回はNa(ナトリウム)の異常値の場合に、リハビリで知っていて欲しいこと
について解説しました。

今回は同じミネラルに属する、K(カリウム)についての記事を書かせて頂きます。

K(カリウム)はNa(ナトリウム)と同じように
身体のホメオスタシスを保つために重要な物質です。

これが異常値を示すと重篤な状態に陥る事があるため注意が必要になります。

 

体内でのK(カリウム)の含有量

K(カリウム)は、体内に存在する量がもっとも多いミネラルです。
98%が細胞内にあり、残りの2%が細胞外にあります。

Na(ナトリウム)とともに細胞の浸透圧を調整する働きがあり
生命維持の上で欠かせない役割を持っています。

また、体に含まれている余計な塩分(Na)を体外へ排泄する効果があり
血圧を下げる栄養素といわれています。

K(カリウム)は食物から吸収され90%以上が尿として排泄されます。
その調節をしているのが副腎ホルモンになります。

そのため血液検査ではK(カリウム)の値を調べることで
腎臓・副腎などの機能を知ることができます。

 

K(カリウム)の働き

K(カリウム)は、神経や筋肉の興奮を伝達する役割をしています。
そのためK(カリウム)濃度が異常値を示すと

・知覚異常
・意識障害
・脱力
・麻痺

などが生じます。

さらにK(カリウム)が不足した状態が進むと

・重篤な不整脈
・心停止

など致命的な結果を招くことがあります。

神経・筋を専門に見るリハビリではこの値をチェックするのはとても大切なんですね。

では正常範囲はどの程度なのでしょうか?

 

基準値

・K: 3.5~5.0mEq/L
※病院ごとに異なる場合もあります。ご了承ください。

 

K(カリウム)が異常値の場合のリハビリ介入の可否

リハビリ介入の可否について、結論からいいます。

K(カリウム)が高値・低値ともに
基準値から大きく外れていてそれに対する治療がなされていないときは禁忌
となります。

また、異常値に付随した症状がみられている場合は
一時中止し医師に判断を仰いだ方がよいと思われます。

心臓への影響も考えられるので
心電図モニターが装着される場合もあります。
運動時にモニター波形に変動がないか注意が必要になってきます。

 

Kが高値のときにリハビリ介入はどうするか?

上でも述べましたが、補正をされている場合は介入は基本的に可能なはずです。
ただし、以下のような症状が出ている場合は注意が必要です。

・不整脈

病態として、K排泄障害で高値となることがあります。
これにより、心臓の動きに変調が起き不整脈が生じることがあります。

原因は以下のようになります。

原因としてよくみられるのは降圧薬の使用により腎臓への血流が減少することや
腎臓が正常な量のKの排出を阻害する薬の影響が考えられます。

 

Kが高値のときにリハビリ介入前に確認すべきこと

リハビリ介入前に以下の事を見るようにしましょう。

・K高値で「不整脈」が生じていないか確認する
・K排泄を阻害する薬物の服薬状況を確認する
・腎臓からKを排泄できず、高値となる可能性があり、腎機能障害の有無を確認する

覚えていて欲しいポイントとしては
「K排泄を阻害する薬の使用状況」「不整脈」です。

 

Kが低値のときリハビリ介入はどうするか?

高値の場合と同じように、補正をされている場合は
介入は基本的に可能なはずです。

ただし、以下のような症状が出ている場合は注意が必要です。

・不整脈
・筋力低下や痙攣

病態としては、過剰なKが排泄されることで
低値となる場合が考えられます。

原因としては

があげられます。

ポイントとしてはKが高値・低値ともに
「不整脈」が出現する可能性があります。

 

Kが低値のときリハビリ介入前に確認すべきこと

Kが高値のときと重なる部分もありますが
リハビリ介入前に以下の事を見るようにしましょう。

・K低値で「不整脈」が生じていないか確認する
・利尿剤の服薬状況を確認する
・筋収縮に必要なKが不足するので周期性四肢麻痺による筋力低下の有無を確認する

ポイントとしては
「不整脈」の出現と「利尿剤での過剰なKの排泄」があります。

そして、リハビリのときに気を付けたいのが『K低値での筋力低下』です。
これにより転倒のリスクが高まるため要注意となります。

 

まとめ

今回は、Kについてのリハビリ介入ポイントについて
説明させていただきました。

ポイントとしては

だと思います。

急変でこういった状態がみられ、自分で判断が難しい場合は
やはり、医師や看護師に相談することが必要になってきます。

前日は見られなかった症状を伝えることができれば
医師、看護師も素早く対応を行えるのではないかと思いますよ。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。