リハビリでの検査値の読み方が必要な3つの理由




こんにちは。作業療法士のトアルです。

皆さんはリハビリ介入の前に「検査値」の確認を行っているでしょうか?

「しっかり読めます!」と言える方は素晴らしい!
とても努力をされたのだと思います。

しかし、新人の頃は英数字の羅列、膨大なデータの前にフリーズすることもあると思います。

私が急性期に就職したばかりの頃はそうでした。検査値なんて全く分からなかったんですね。

「検査値を読む理由がわからない」
「検査値の読み方がわからない」

検査値は医師が読み解くもので、リハビリには関係ないんじゃないかと思ってました。

そこで今回は検査値を読むことがなぜ必要なのか3つの理由を取り上げてみたいと思います。

はじめに

医師は検査値を元に診断を行いますが、リハビリスタッフは病気の診断はできません。

ではなぜ、検査値を読む必要があるのか?

それは「クリニカルリーズニング」を行うために活用します。
日本語で言うと「臨床推論」ってやつです。

「クリニカルリーズニング」とは、ある現象に対して「なぜそれが生じているのか」という原因を探り、それに対処する方法を考えていく思考方法です。

臨床の現場では、患者さんが急変することもあり得ます。

その時に患者さんにどういう症状が出ているかを見て「なぜこれが起きたのか?」と推測することはとても大切で、これができなければ命にかかわることもあります。

でもこれって、経験則だけでは判断できませんよね。

「急変した患者さんの症状から経験則で診断したんですが、実は間違ってました。」
なんていう訳にはいきません。

なので科学的な裏付けが必要になります。検査値は疾患ごとに特徴のある数値が出てきます。

「この症状がでているから、恐らくこの系統の疾患だろう、検査値を見てみると…。」
「ほら、やっぱりね。」

みたいな感覚です。こんな軽いノリではないとは思いますがあしからず。

つまり、検査値を見ることができるというのは「推測の裏付けをとる」という意味があるんです。

なので、あらかじめ検査値の持つ意味を知っておけば、リハビリ介入前に急変のリスクが
あるかないかを予測できますし、リハビリ介入中のリスクへの対応も可能になります。

 

1.リハビリ介入を行うべきかどうかの判断をする材料

勤務先によって、急性期、回復期、維持期、在宅などがあるため、それぞれの医療のステージで取る検査の頻度も異なります。

「急性期」では常にモニタリングが必要なため頻度が多くなりますが、反対に症状が安定している「維持期」では検査の頻度も少なくなります。

急性期では症状の変動がある可能性も高く、患者さんに、日々変化がないかリハビリ介入前に必ず検査値の確認が必要になってきます。

各疾患別(脳外科・心血管・がん)ごとに「リハビリ処方の禁忌」「リハビリ中止基準」について、リハビリ介入中止基準の検査値は正常範囲を含めて必ず知っておく必要があります。

評価を怠ると、リハビリ介入中に急変があった場合に症状が悪化したと
患者や他職種から信頼を損ねる可能性も高くなります。

ここはとても注意したいところです。

 

2.検査値から推測される症状をアセスメントする材料

検査値を確認した後は、そこから推測される症状についてアセスメントを行う必要があります。
これを「フィジカルアセスメント」といいます。

検査値が異常に高い場合(あるいは低い場合)は、医師に安静度を確認した方が良いです。

医師から離床の許可を得られた場合、異常があればすぐに報告する旨を伝えておくことも重要です。なぜかというと、医師にしか、離床が可能か判断できないからです。

法律では、私たちセラピストは医師の処方の元にリハビリを行います。セラピストの勝手な判断でリハビリをしてしまっては違法になる可能性もあります。

そして、医師の判断なしに行った離床で、患者さんの容態を悪化させてしまった場合、全責任はそのセラピストがとることになります。セラピスト個人が損害賠償を求められ裁判が起きる可能性もあります。

こういったケースにならないためにも、医師の指示は仰ぐ必要があります。

少し脅しが過ぎるかもしれませんが、これは急性期で働く際には、自分の身を守るために絶対知っていて欲しいルールです。

急性期の患者さんを離床をする際にはリスクが伴うため、離床を行うことで、どういうリスクが伴うかを予測しなければなりません。同時にすぐにリスクに対応できる方法を取る必要があります。

例えば、「低血糖」の症状ではめまいなどが生じるため、すぐに座れる状態を作っておかないと転倒するリスクがあります。

また、内服薬の副作用で異常値が生じる事もあるため、内服薬の確認や服薬を行っているかどうかの確認も必要になってきます。

3.医師・看護師とのコミュニケーションをとる材料

検査値が異常値を示している場合には、リハビリ介入前に医師・看護師と積極的にコミュニケーションを取る必要があります。

「検査値を知る」=「多職種とのコミュニケーションのツール」として必要不可欠なものとなります。

急性期ではもちろんですが、回復期や維持期、在宅では検査の頻度が少なく、過去のデータしか残されていない場合もあります。

その際には、フィジカルアセスメントで異常を推測することもあります。

検査値が過去のデータしか残っていない場合は、他職種カンファレンスで検査を行うように求める事も必要になってくると思います。

 

まとめ

検査値に強くなるためには、介入前に検査値を確認する習慣を付ける事が大事です。

たとえ、正常値を覚えていなくても、電子カルテ上であれば、
値が高いか(high)、低いか(low)は色分けで表示されていると思います。

検査値を意識する事で、症例を重ねるごとに自然に異常値と症状の相関が見えてくると思います。

今回は「リハビリでの検査値の読み方が必要な3つの理由」について取り上げました。

長文にお付き合い頂きありがとうございます。

この記事が皆さまのご参考になれば幸いです。