こんにちは。作業療法士のトアルです。
運動して体を使った後って、無性に塩っ気のあるものが取りたくなりますよね。
私たちはNa(ナトリウム)は日常的に、食塩という形で摂取しています。
不足すると熱中症になったりと、身体にとって必要不可欠なものですが、
気を付けないと過剰摂取になり「高血圧」の原因となるので注意が必要です。
Contents
Naについての解説
話を戻しますが、Naは栄養素の中でも「ミネラル」という分類になります。
ミネラルは他にもK(カリウム)、Cl(クロール)などがあります。
ミネラルが体内の水分中に溶けた状態を「電解質」といい
pHや水分量の調整に関与します。
電解質は、通常の生体(生きている状態)では細胞内外で
濃度のバランスが一定に保たれています。
このバランスは体内水分量の変動に左右されます。
手術後の水分in-outバランス、腎機能障害、利尿薬などの内服状況に影響されます。
特にNaとKは酸塩基平衡、浸透圧の調整に大きくかかわります。
基準値
Na: 135~145mmol/l
※病院ごとに異なる場合もあります。ご了承ください。
リハビリ介入の可否
急性期のリハビリでの介入時に判断に迷うのは
「本当にリハビリ介入してもいいのか?」
「具体的なリハビリ訓練はどうすればいいのか?」
だと思います。
その原因は「生理学の知識不足」にあります。
Naの値が「高いのか」「低いのか」で場合分けをして、
考えながら離床を行えるのがベストです。
それを簡単にまとめたフローチャートを作ったので参考にしてみて下さい。
図に示している「ベッド上での対応」というのは「具体的なリハビリ訓練」内容です。
救急で搬送された患者さんの場合で『意識障害』があるときの電解質の異常は
かなりシビアなケースが多く、Naの補正など治療が優先されます。
入院経過中でもNaの高値・低値ともに基準値から大きく外れている場合、
それに対する治療がなされていない場合はリハビリ介入は禁忌とした方がいいそうです。
また、異常値に伴った症状がみられている場合は一時中止し医師に判断を仰いだ方がよい
と思われます。
Naが高値では何が起きているか?
上でも述べましたが、Na補正後で正常値の場合、介入は基本的に可能なはずです。
ただし、以下のような症状が出ている場合は注意が必要です。
・口渇感
・興奮状態
・痙攣
病態としては、体内の水分が喪失することです。
これにより、相対的にNaが高値になります。
原因は以下のようになります。
・腎臓からの水分の喪失
・不感蒸泄や下痢、嘔吐による水分の喪失(腎臓外からの喪失)
・飲水不足
Naが高値のときリハビリでのリスク管理は?
リハビリ介入前に以下の事を見るようにしましょう。
・「口渇感」や「興奮」があれば水分喪失を確認する。
・利尿剤により過剰な尿量となることがあるため、内服状況を確認する。
・発汗、下痢・嘔吐、飲水量の不足があれば、水分補給を行う。
覚えていて欲しいポイントとしては
「利尿剤の使用状況」と「水分補給」になると思います。
臨床でよく見かけるのは、「飲水不足」で特に高齢者によくみられます。
高齢者の場合は喉の渇きに気付きにくく「飲水不足」になりやすいです。
リハビリ介入時は飲水を促すようにしましょう。
Naが低値のとき何が起きているか?
高値の場合と同じように、補正をされている場合は介入は基本的に可能です。
ただし、以下のような症状が出ている場合は注意が必要です。
・倦怠感
・意識障害
・痙攣
病態としては、体内に水分が多量に貯留しNaが低値となる場合が考えられます。
少しややこしいのですが、水分は排出されている状態でも
Naが排出され過ぎることもあり、これが原因で低値となる事もあります。
原因としては
・心不全、腎不全などの過剰な体内水分量
・利尿薬、下痢、嘔吐によるNaが喪失
・高血糖
・食事摂取量の低下(塩分摂取量の不足)
があげられます。
「あれ、どっちだっけ?」ということもありますが、
判断がつかない場合は、医師や看護師に相談するようにしましょう。
Naが低値のときリハビリでのリスク管理は?
リハビリ介入前に以下の事を見るようにしましょう。
・Naが低値のときの症状は、浮腫性疾患で生じる事が多いため
水分のin-outバランスの変化や浮腫の有無を確認します。
・利尿薬で水分と共にNaが排泄されることがあるため注意が必要です。
・心不全を合併しているときには、低Na血症が低灌流所見の1つであり
倦怠感などの症状や食欲低下がでていないか注意します。
・心不全の低Na血症では、その他の低灌流所見(低心拍症候群)が
ないか確認を行うようにします。
症状が前日よりも悪化していれば医師との相談が必要になります。
まとめ
今回は、Naが異常値を示している場合のリハビリ介入ポイントについて
説明させていただきました。
ポイントとしては以下の4つになります。
急変でこういった状態がみられ、自分で判断が難しい場合は
やはり、医師や看護師に相談することが必要になってきます。
昨日は見られなかった症状を伝えることができれば
医師、看護師も素早く対応を行えるのではないかと思いますよ。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。