気管切開とスピーチカニューレについての基礎知識




こんにちは。作業療法士のトアルです。

作業療法士に直接的に関係なさそうな「気管切開」「スピーチカニューレ」

しかし、日常的にコミュニケーションをとる上で発話が「できる」のと「できない」のでは
患者さん・セラピスト双方にとって大きな問題となります。

発話ができなければ筆談となりますが、デメリットとして、書くことに時間がかかったり、
伝えたいニュアンスがうまく伝わらない場合があります。

気管切開術について

気管切開されている方を始めてみる人は、その外観からショックを受けることが多いと聞きます。

しかし、気管切開を行う必要性を知ることで納得されることが多いです。

以下に気管切開のメリット・デメリットについて説明させていただきます。

 

気管切開のメリット

気管切開を受ける患者さんは、気管内挿管を行っている場合進行性の呼吸不全の場合です。

進行性の呼吸不全とは筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの疾患です。

頻回な喀痰吸引を行わなければ、生命に係わるケースの場合に経口的な吸引では間に合わず、
まずは「気管内挿管」が必要になります。

そして、気管挿管の期間が長いと予測される場合に「気管切開」を行います。

気管切開は気管内挿管と比較※1し、安全な気道確保と吸引管理が可能といわれています。

解剖学的死腔が少ないため苦痛の軽減や、気道抵抗が減るので患者さんは呼吸が楽になります。

※1:長期間の気管内挿管と比較する場合です。

気管切開のデメリット

気管内挿管は経口や経鼻で設置されるため、患者さんにとってはその留置は苦痛となります。

また、認知機能が低下している場合は、気管切開のメリットが理解できず、
留置されていること自体を不快に感じ、抜去する可能性があり管理が大変になります。

気管切開への誤解

気管切開を行うには、医師の説明が必須になります。

気管切開を行うことで、患者さんに対して「呼吸が楽になる」というメリット
気管切開後も必要がなければ抜去が可能であることを伝える必要性があります。

また、発声の練習が必要であれば「スピーチカニューレ」を使用することで、
発声練習などのリハビリが可能であることを説明する必要があります。

患者さん・家族の方は気管切開は永続的に続くものと思っている方も多いため、
どういった経過をたどるかについての説明・指導が必要になります。

スピーチカニューレとは

呼吸不全がある場合には、通常のばあい経口・経鼻での気管内挿管が必要となり、
「気道確保」「酸素療法」「気管内吸引」が実施されます。

もし、この期間が長引くと予測される場合には「気管切開」が行われます。

その際、色々な気管カニューレが使用されますが、その中に「スピーチカニューレ」があります。

一般的なスピーチカニューレは吸気時は発声用バルブが開き、気管切開孔から空気が入ります。
呼気時は発声用バルブが閉じて空気が正門を通過し、口に抜けるため発声ができます。

 

まとめ

直接的にOTが発声・発語訓練を行う機会は少ないと思います。

冒頭でも述べたように、気管切開を行うと発声ができなくなります。

そうなると、自分の意思を直接かつ素早く伝えることができないので、
本人や家族・ケアする看護師などの大きなストレスとなります。

 

私の経験談

OTでは代償的に筆談という手段や、単語ボード、50音表を用いることもあります。
実用的可能な条件として、意識状態・認知機能が良好であることが条件になります。

脳卒中後や頭部外傷後など、筆談を通して、徐々に意識状態が改善してくる場合があります。
STと情報共有を行いながらスピーチカニューレを検討することも必要だと思います。

私の経験上の話になりますが、筆談に便利だなと思ったのは100均のホワイトボードです。
専用のマジックも100均で売られていますよ。

マジックがよく行方不明になることも多いので、紐などでホワイトボードとマジックを
接続してたほうがいいかもしれません。

もし、100均で見つからない場合はネット通販で購入する方法もあります。

【ホワイトボード(A4サイズ)】

 

お値段は600円前後で100均よりは高くなりますが、安心のコクヨ性です。
こちらはA4サイズですが、A3サイズもあるようです。

イレイサー(白板消し?)付きのペンとクリップも付いているようで
別に買い揃える必要もないので便利ですよね。

【ホワイトボード】(ノート型)

 

こちらは折りたたみ可能なノートタイプになります。
開けば両面が使えますし、使用しない時は折りたたんで収納出来ます。

閉じると、かさばらないのでSTさんの訓練用に1つあると便利かもしれませんね。

こちらはペンやクリップが付属しないので別に購入する必要があります。

ホワイトボードの表面は何度も書いたり消したりするので傷つきやすいので、
こういったタイプのものを持っていると長い目で見ると経済的です。

もしよければ、一度お手に取ってみてはいかがでしょうか?

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。