WBC(白血球)について急性期の作業療法士が知るべき2つのこと




 

こんにちは。作業療法士のトアルです。

検査値を読み解いて、リハビリ介入を行うのって新人の頃は大変だと思います。
私もそれで苦労した覚えがあります。

ですので、できるだけ簡単に分かりやすい解説を心がけていこうと思ってます。

今回は免疫にかかわる検査値である「WBC」(白血球)について解説します。

急性期リハビリで早期離床を行う際の考え方は、以下のような形だと私は思っています。
※個人的な意見、簡易的なものなので、ご参考程度にお考え下さい。

それではWBCの異常値のときに、気を付けたい2つのポイントについて説明していきます。

 

リハビリ介入の可否について

まずは、カルテ・リハビリ処方箋などで医師からの安静度を確認することが必要です。

そして、リハビリ介入前には、必ず最近取られた生検値を確認してください。

正常値なら、それほど問題はないと思われますが、
WBCが異常な高値・低値であった場合、リハビリへの介入は要注意です。

急激に数値が変動している場合は、医師と相談して介入するようにしましょう。

今回の記事では、WBCの数値が高い・低い場合に

『何が起きているのか』
『どういったリスク管理を行えばよいのか』

について解説していきます。

 

白血球の役割

白血球は、ウイルスや細菌などの病原菌が体内に入ったときに、
それを取り込んで消化分解する免疫の役割を持っています。

ウィルスや細菌に感染した場合に、それらを消化・分解するために白血球数は増えます。
また、白血球がつくられる骨髄で産生能力が低下すると白血球数は減少します。

免疫力が弱まり病気にかかりやすい状態になってしまいます。

 

白血球の5つの種類

白血球は単一のものではなく、5つに分類されます。

・好中球
・リンパ球
・好酸球
・単球
・好塩基球

の5つです。

好中球(全体の40~70%)が最も多く、続いてリンパ球(20~50%)が多くなっています。

それぞれ大切な機能を持っていますが、リハビリでは詳細に覚える必要性は低いかなと思います。
5種類の役割を知識として知っておくと一目置かれるかもしれません。

 

基準値

・3300~8600/μL
※病院ごとに異なる場合もあります。ご了承ください。

 

WBCが高値では何が起きているのか?

WBCが高いと、

・炎症症状

がみられます。

身体で免疫が病原体を排除しようとしていると解釈できます。

 

高値となる機序

骨髄などで好中球の産生が亢進し、血管内へ移動します。

その後、病原体の集まる場所(血管外)へ到達し、それを取り込み消化するため
発熱などの炎症症状が生じるとされています。

原因としては

などがあげられます。

 

WBCが高値のときリハビリでのリスク管理は?

WBC高値の場合、リハビリの初回介入の場合は医師に確認が必要になります。

それ以降は、日々のバイタルの測定・フィジカルアセスメントを
実施して炎症症状の評価を行います。

特に急性期で何らかの手術後の場合は、日頃の評価が重要になってきます。
前日と比べて変化がないか、観察力が必要になってきます。

もし、数値が上昇していなくても

『炎症症状が悪化していた場合』『自覚症状がある場合』は医師に相談する

必要があります。

 

WBCが低値では何が起きているのか?

WBCが低いと、

・易感染性

が生じます。

つまり、免疫機能が低下してしまうため感染への抵抗性が落ちます。

 

低値となる機序

低値となる機序としては

・骨髄での白血球の産生が低下する場合
・末梢での白血球の消費が大きくなっている場合

が考えられます。

それぞれ、白血球の工場である骨髄に何らかの障害がある場合と
身体の部位での感染源の影響が強く、白血球が多く必要になっている場合
があるということです。

臨床でよく見る例では、敗血症などがあります。

他の原因としては、骨髄のがん、薬剤の使用の場合があります。
詳細は以下の場合です。

 

WBCが低値のときリハビリでのリスク管理は?

WBC低値の場合、リハビリの初回介入の場合は医師に確認が必要です。

離床の許可が出た場合は、マスクの着用、手指衛生(手洗い・手指消毒)を
徹底し標準予防策をとることです。

理由は患者さんへの感染を予防するため』です。

※標準予防策について詳しく知りたい方はこの記事をご覧になってください。

WBCが低値の方は感染を避けるため、個室で過ごされている事も多く、
血圧計、聴診器などは個別に用意されている事が多いです。
感染を防ぐために必ず守りましょう。

発熱・炎症の程度により、リハビリ介入が禁忌となる場合もあります。
安易に離床は実施せずに、医師への確認を行いましょう。

感染が考えられる場合、交感神経の賦活で、安静時・運動時の心拍数の上昇がみられます。
エネルギー消耗が強いため、疲労感にも注意しましょう。

 

その他の注意点

【がんリハの場合】

WBC低値の原因が、薬剤の副作用の場合も考えられます。
どういう薬剤を使用しているかを確認しながら検査値を確認する必要があります。

がんリハ中止基準として

・白血球:3000/μⅬ
・Hb:7.5g/dⅬ
・血小板2.0×104

のうち、いずれかが当てはまれば中止となります。

また、好中球: 500/μⅬで感染リスクが高くなるため、クリーンルーム管理が必要になります。

【ウィルス感染】
ウィルス感染症では、好中球の増加・減少について両方ともが生じることがあります
リンパ球数は増加することが多くなるようです。

【アレルギー】
アレルギーがある場合は、好酸球の増加がみられます。

 

まとめ

WBC高値では炎症症状の増悪がないかWBC低値では易感染性に気を付ける必要があります。
易感染性がある場合、離床の際「標準予防策」が必要となります。

また、がんリハでは薬の副作用が出ることも多く、より注意が必要になってきます。
簡単にまとめますと以下のようになります。

今回は、WBCについてのリハビリ介入時のポイントについて説明させていただきました。

皆さまのご参考にしていただければ幸いです。